2012年05月15日

乙嫁語り 4巻

4047280836乙嫁語り 4巻 (ビームコミックス)
森 薫
エンターブレイン 2012-05-12
楽天ブックス
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今回、なんだか前回とすっかり雰囲気が変わって、ハイテンション双子コメディ。一応主人公(?)のスミスさんの存在感が薄すぎるほどw
夢見る乙女は結局、親同士が決めた相手と結婚するんだけども、次巻がその結婚式だというのでどんな描写なのか楽しみです。
うれしいことに、おまけ漫画が充実していました。予想通り、スミス氏の懐中時計の旅が始まりそうです!
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2012年05月13日

図説 プロイセンの歴史―伝説からの解放

4887214278図説 プロイセンの歴史―伝説からの解放
セバスチァン ハフナー Sebastian Haffner
東洋書林 2000-09
 楽天ブックス
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部族に根ざした基盤もなく、信仰に則した原則もなく、自然の国境すらもなく、もっぱら人工的で「粗野な理性国家」としてのみ存続しえた国家プロイセンの波瀾にみちた物語。

購入迷ったけど、思い切って買ってよかった書籍。フランスやイギリス、オーストリアに関する歴史書は数あれど、プロイセンを扱ったものは少ないです。ほとんどないと言っていいぐらい。歴史書としてもですが、読み物としても楽しめます。興味あれば、おすすめ。(ただページ数のわりには高額なので、気軽に購入できないのが難点ですが)

伝統的な部族に根ざした国家ではない、理性と合理性の国家の興亡記。1701年に王号を得て、一王国として成立する前の歴史から始まります。
面白いのは「プロイセン」という部族はそもそも、べつに存在していたということ。王家であるホーエンツォレルン家が統治する前、ドイツ騎士修道会が布教のために原住民であるプロイセン族を大虐殺して、ほぼ全滅してしまいました。その土地に入植して修道会国家を築きます。その後、たまたま修道会総長に就いたのが、ホーエンツォレルン家の傍流であるアルブレヒト・フォン・ブランデンブルク=アンスバッハ。彼は宗教改革に乗じて修道会国家を解散し、プロイセン公国の公主になります。
その後、相続者が途絶え、ブランデンブルク辺境伯であるホーエンツォレン家が統治するようになって、プロイセンの下地が出来上がるのです。

ただ飛び地の公国であることがデメリットとなって、領地から領地へ渡るのに他国を経由する必要が。統治しづらく、その周囲の土地を征服する必要がありました。国家の課題として、果敢に挑んだのが、大選帝候として知られるフリードリヒ・ヴィルヘルム。外交や戦争に明け暮れた人生。ただ成果はいまひとつだったようです。

やがてその息子であるフリードリヒが初代プロイセン王になるのですが、父とちがって戦争は一切していません。他国へ根回しをしてついに王号を得るのですが、方法が地味なためか、浪費家というイメージも加わって歴史家からは、不遇な扱いを受けているとか。
ただ、当時、「王号」は国家を形作る必要不可欠なもので、それを見事手に入れた初代王はすばらしい、と本書では褒めちぎってるのが面白い。

その次の王であるフリードリヒ・ヴィルヘルム一世についてもかなり褒めていて、粗暴で乱暴な部分はともかく、内政王としての実績を評価しています。彼がいなければ、プロイセン王国は発展しなかっただろうというほどに。必ず話題になる巨人兵に関しても、戦術的観点から必要不可欠だったのだろう、とまで。
が、巨人兵の肖像画を部屋にかけて、眺めていたという逸話(?)もべつの書物であるぐらいだから、それは褒め過ぎかと。どう考えてもコレクター魂で集めていたとしか思えないという(笑 実際、息子である大王は「不要」とすぐに解散させたというしね。

そして三代目がかのフリードリヒ大王になるわけですが、やはりシュレジエンの奪略の動機についても触れられています。はっきりした答えはなく、一国の王として、プロイセン・プログラムに従ったまでではないかとありました。そもそも大王の気質は優しく繊細だったのですが、将来のプロイセン王として教育をされるうちに、ひねくれた自虐的冷笑家になったようです。本書ではあまり書かれてませんが、べつの書物では親子の確執に触れられており、ひねくれるのも無理ないよな、とも思いましたが。
要するに、投げやり。破れかぶれの出たとこ勝負!!!
その後の七年戦争でからくも難を逃れたからよかったものの、捨て身の戦争に国民はえらく迷惑したはず。おまけに戦争が長引いて、重税にあえいだとか。消費税って当時からすでにあったのも驚き。国家が貧窮したら、簡単に税率を上げればいいのだから、搾取しやすいといったらそれまでですが……。
でも憎めず、愛すべき王さまでもあるのが彼の魅力なのでしょう。気むずかしい冷笑家といっても、心底では優しかったようですし。その後の啓蒙王政で、国民から「老フリッツ」と親しまれるようになります。

プロイセンは国として新しく、しかも部族や地域に根ざした土地でもないため、まず国の基幹をべつの概念に置き換える必要がありました。それが国家への義務。あるものは勤労(税金)で、あるものは頭脳で、あるものは血(戦争)で。それさえきちんと果たしていれば、あとは生活様式も宗教も国は関与しませんでした。移民も多く流入してきて、とくにフランスを追われたユグノー教徒たちの職人芸が国を発展させます。
そしてとくに重要だったのが、軍国としてのプロイセン。小国が大国と肩を並べる――ほどまでいかなくても、蹂躙されず独立した強い国であるためには、なにはともあれ強い軍隊が必要不可欠。だからフリードリヒ大王やその父も軍隊には、国家予算の大半をつぎ込んでいます。
あと、オーストリア等、他国と異なるのは、王自らが軍の司令官を兼ねる点。政治に関しても、王が最終的に判断を下します。絶対王政の究極。
ただ何もかも王が決めるのには限界があるため、官僚制度も発展していくことに。新しい国であるため、ユンカーと呼ばれる田舎貴族がメインで諸外国のような大貴族はいませんでした。だから官僚も権限が他国ほどなくて、国家に忠実に仕えることが可能でした。軍隊の将官たちも同様。

やがてナポレオンが登場して、プロイセンはまたも破滅の危機に晒されるも、運良く持ちこたえ、ついにドイツ帝国皇帝も王が兼ねるほどに成長するも、それがあだとなって崩壊していきます。
そもそも部族や土地に根ざした王国でなかったため、一度、べつの国家概念に摩り替わってしまうと、それを失ったとき、もはやプロイセンという国は名前だけのものに。第一次世界大戦の敗戦で、ついに王号を廃されると、プロイセン王国は消滅してしまいます。
あまりにも短くあっけない王国の最後が、まるでひとりの人間ドラマを見ているようで、感慨深いものがありました。うーん、江戸時代ぐらいの長さしかなかったんだよね、プロイセン王国って。ほんとうに短命だったんだな。
日本に住んでいたら国家が消滅したり、王が変わったりするという実感もだけど、歴史もないので、なかなか興味深く面白かったです。
タグ:★★★
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2012年05月08日

卵をめぐる祖父の戦争

「ナイフの使い手だった私の祖父は十八歳になるまえにドイツ人をふたり殺している」作家のデイヴィッドは、祖父のレフが戦時下に体験した冒険を取材していた。ときは一九四二年、十七歳の祖父はドイツ包囲下のレニングラードに暮らしていた。軍の大佐の娘の結婚式のために卵の調達を命令された彼は、饒舌な青年兵コーリャを相棒に探索に従事することに。だが、この飢餓の最中、一体どこに卵なんて?-戦争の愚かさと、逆境に抗ってたくましく生きる若者たちの友情と冒険を描く、歴史エンタテインメントの傑作。

このミステリーがすごい!3位とあったから期待したら、ミステリー度がかなり低かった……。あとタイトルとあらすじだけで想像した内容と、雰囲気がちがっていたのも期待はずれ。

あらすじにある通りの内容なんですが、あまり話に入り込めなかった。理由は単純で、主人公レフとその相棒のコーリャのマッチョ思考についていけず。
男は強くなくては、というのではなく、頭のなかはひたすら女。要するにセッ○スのことばかり。女性が登場したら、すぐ裸の想像をしては○○○を入れたい……って、本当にそればっか(苦笑 
要するに下品です。
アメリカンジョークな登場人物がどうも苦手で、話よりもそちらが気になってしまいました。猥談が出てくるたび、またそれかよ……うんざりって。
なんか当時のソ連を革に被った、現代アメリカ的なお話だと思いました。だからアメリカではベストセラーになったのでしょう。

そのためか、ラスト近くの悲劇もとってつけたような感じで、余韻も感動もありませんでした。あ、そうお気の毒ね……程度。それまでに至る描写がどうにも軽くて、感情移入できなかったですもの。私が男だったら、いっしょに楽しめたかもしれませんけどね。

話そのものは良かったです。大佐の娘の結婚式で使うケーキを焼くために、食糧難のレニングラードで命を救ってもらえる代償として、探しに行く。発想が洒落ていて、しかも舞台は戦争とナチス。当時の悲惨さや戦争の恐ろしさが伝わってきました。
ただ、描写は全般的に下品で軽いので、読んでいても重くないです。それがよかった。娯楽小説としてならおすすめ。ただ、ミステリーを期待したら、話があっさりしているのでがっかりするかも。私はした(^_^;)

アマゾンレビューでは絶賛なので、好みの問題のようです。男性向けの性的ネタがあまり気にならなければ、おすすめできます。
タグ:_| ̄|○
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2012年05月03日

ハプスブルク家

4061490176ハプスブルク家 (講談社現代新書)
江村 洋
講談社 1990-08-10

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ヨ-ロッパの「宗家」ハプスブルク家の盛衰王家の中の王家,超国家的な支配原理で陽の沈まない帝国を築いたハプスブルク家.カ-ル五世,マリア・テレジア等の闘争と政略の7百年を通しヨ-ロッパを考える

以前、ハプスブルク家の通史を扱ったべつの書籍を読んだことがあるんですが、あまりの複雑さに理解できず、がっかりしたことがあります。ハプスブルク家は近親婚を繰り返して複雑なんだな、ぐらいに思ったまま興味もさほど持てなかったのですが。

……ああ、これをさきに読んでおけばよかったっ!!!!!!

というぐらい、わかりやすくて読みやすかったです。文章が平易なのと、無味乾燥な学術書にありがちな記述が抑えめだからでしょう。あと、ハプスブルク家に関する通史のエピソード以外は、ほとんどいっていいぐらい書かれていません。新書ということもあって頁数も限られているためでしょうが、かえってそれもよかった。寄り道がいっさいないお陰で、すんなり理解できましたもの。
(以前読んだ『ハプスブルク一千年』は余計な話題が多すぎてわかりにくかったのだと、今、納得。もし迷われたら、購入しないほうが賢明です)

マクシミリアン一世って立派な君主だったのか。騎士としても統治者としても文化人としても、あと外見も優れてたとは。
あと、カール五世って立派な皇帝だったのも知らなかったという。近親婚のイメージが強くて、為政者としての素晴らしさはよく知らなかったんですよね。なぜオーストリアとスペインに分裂したのかも、本書を読めばすんなりわかります。
そしてマリア・テレジアはともかく、そのひ孫のフランツ・ヨーゼフの君主としての強さと孤独も書かれていました。実質、最後の皇帝。
第一次世界大戦以降は民族独立運動が起こって、帝国は瓦解して共和国になります。あれだけ広大な領地を誇っていたハプスブルク家の栄光と落日が物悲しさを誘うラストでした。

君主が統治して政治をすると、どうしても王によって国の安定にばらつきがあるのは良いのか悪いのか。聡明な君主だったら、国は無駄な戦争もなく繁栄するのですが、そうじゃなかったら最悪、領地をたくさん失うことに。もちろん戦争で。戦争を回避するための外交術や、たとえ開戦したとしても損害を少なくするための戦略に長けてないと、周辺諸国にたちまち蹂躙されてしまうという。
オーストリア自体が周囲が他国に囲まれていることもあり、常に領土が変化していくのもよくわかります。

ハプスブルクに興味をもった入門として、とてもおすすめします。
タグ:★★★
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2012年05月02日

罪と罰

4102010211罪と罰〈上〉 (新潮文庫)
ドストエフスキー 工藤 精一郎
新潮社 1987-06

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鋭敏な頭脳をもつ貧しい大学生ラスコーリニコフは、一つの微細な罪悪は百の善行に償われるという理論のもとに、強欲非道な高利貸の老婆を殺害し、その財産を有効に転用しようと企てるが、偶然その場に来合せたその妹まで殺してしまう。この予期しなかった第二の殺人が、ラスコーリニコフの心に重くのしかかり、彼は罪の意識におびえるみじめな自分を発見しなければならなかった。

ロシア文豪の誰でも知っている名作。若い時に読んでおけばよかったかも……。
私自身が歳をとってきたためかもしれませんが、主人公ラスコーリニコフにまったく共感ができない。殺人まえはあれほど論理的に「益になる殺人」を肯定しておいたにもかかわらず、思いがけず老女の妹まで殺害してしまったことで、罪悪感で苦しむという弱さ。いや、そもそもそれが作品のテーマなんでしょうが、頭でっかち系の登場人物って、私あまり好きじゃないんですよね(汗 理論が先走って、空回りしているようで。
あと、全体的に登場人物の心理描写が多すぎるのも苦手な理由。話が遅々として進まない。くどいというか。ラストまで到達したとき、やっと終わったよ〜って思ったぐらい。

さすが超名作だけあって、見かける感想はほとんど絶賛です。単に私の好みに合わなかっただけです。
トルストイは面白かったけど、ドストエフスキーはどうも苦手みたいです。
うーん、なんか凹む。絶賛されている作品が面白くなかったとき、いつもそーなんですけど。やっぱ、好みが偏っているのかな……って。
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2012年05月01日

フリードリヒ大王―啓蒙君主のペンと剣

412101152Xフリードリヒ大王―啓蒙君主のペンと剣 (中公新書)
飯塚 信雄
中央公論社 1993-10

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十八世紀なかばに、オーストリア、フランス、ロシアなどの大国を相手に七年戦争を戦い抜いた小国プロイセンの王フリードリヒ。彼は戦略の大家であると同時に、ヴォルテールを師として詩作に耽り、自らフルートを奏でる芸術家でもあった。しかし、彼にまつわる諸伝説の多くは、プロイセンがドイツ帝国となった十九世紀に成立したものであった。本書は、歪められた虚像の奥から、啓蒙君主の魅力的な人間性を引き出す試みである。

フリードリヒ大王 啓蒙君主のペンと剣 - 電子書店パピレスにて購入。紙の書籍が絶版だったのでがっかりしたんですが、「電子書籍で読んだ」とレビューにあったので検索。もしレビューで書かれてなかったら諦めてたと思う。ありがたい(感涙

事実は小説より奇なり、を地で行く内容でした。フリードリヒ大王に関しては当時の関連歴史書物を読むたび、必ずといっていいほど触れられているのですが、不思議なことに記述が一貫していないんですよね。ある本では「公明正大な啓蒙君主」またある本には「冷酷非道な王」そしてべつの本では「英雄的な軍人戦術家」というふうに。ネットのサイトでも同様で、かなりひとによって好き嫌いが分かれる人物のようです。

で、それがどうにも気になって、本書を読んでみたけど、はっきりとした答えはありませんでした。おそらく、フリードリヒ自身にもわからなかったのでしょう。好戦的な自分と、啓蒙的な自分という相反する人格がなぜ混同しているのか。
アンチ・マキャヴェリスト論なるものを書いた数年後に、こじつけ、あるいは強引ともいえる理由でシュレージエンの征服に挑むのですから。言ってることと行動が正反対。
女性がオーストリア王になるのが許せないらしい。もちろん各国から非難轟々。フリードリヒ自身はまさか、そのあと周囲の国々を敵に回すとまでは考えつかなったらしく、オーストリアがシュレージエン奪回の七年戦争に突入したときは、ひどく狼狽したとか。
そもそも、だまし討ちともとれる戦をしかけたのは、フリードリヒ自身だったからというのに。なぜ気がつかない、大王よ。戦争続きで国民は大変だったけど、ひとりの人物として見れば、そのアンバランスさが、かえって面白いという(笑

本書ではフリードリヒの祖父王と父である軍人王フリードリヒ・ヴィルヘルムについても触れられています。
で、その父王がなんとまあ、現代でいう虐待親父。とにかく実利主義で、当時一世を風靡していたロココ的な優雅さはいっさい禁止。文学も音楽も果ては古典語も。当時の王族がラテン語を習わないなんて、前代未聞すぎる。雅なフランスや芸術に憧れるフリードリヒ少年が可哀想すぎ。
成長しても、病のいら立ちを暴力で息子にぶつける父の姿。ひどいときはカーテンのロープで首をしめられ、窒息死寸前の騒ぎもあったほど。
もちろん、反発して一度、18歳のときイギリスへ逃亡しようとするのですが、そこでも短慮がたたってあっけなく連れもどされたという。そのあとすごいのは、同情して逃亡を助けた友人を、父が息子のまえで斬死刑したというエピソード!
……さすがにそこまで追い詰められると、おかしくならないほうが不思議。フリードリヒ大王がアンバランスな性格なのは、父王の影響がかなりあると思います。

父王は軍人だったけど、中味は慎重な性格だったため他国へ戦争をしかけることはなかったそう。あくまで防衛のため。そして倹約をして国庫を貯めたまま崩御。
そして28歳で王に即位したフリードリヒは、先述したようにさっそくシュレージエン征服のための戦争。国費がほぼすっからかんになるほど使い果たし、たくさんの戦死者も出します。家臣である友人たちも亡くなりました。
それでも戦ったのは、父への反発もあったのでしょうね。飾りだけの軍隊など無意味。おのれならできる、と過信していた部分もあったのではないでしょうか。
七年戦争においても、戦術には極めて強い大王ですが、戦略には短慮な部分があったようです。幸運がなければ、あまりの負けっぷりで服毒自殺をしていたほど。

あと同性愛的な部分は、曖昧なまま。なぜ女ぎらいなのかはわかりませんが、弟のハインリヒも同様だったそうです。兄より強烈だったそう。
でもほかに弟がいてよかったね、とも思ったけど。いなかったら後継者で大もめしたはず(笑
女嫌いという点では架空の人物ですが、シャーロック・ホームズを思い出したという。

ほかにもたくさんフリードリヒ大王に関するエピソードが盛り込まれていて、読み物としても大変面白かったです。教養もかなり高い破天荒な人物だけあって、読んでいても飽きませんでした。
タグ:★★★
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2012年04月28日

アドルフに告ぐ 全5巻

4061759728アドルフに告ぐ(1) (手塚治虫漫画全集 (372))
手塚 治虫
講談社 1996-06-14

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神戸に住むドイツ領事の息子のアドルフは、パン屋の息子でユダヤ人のアドルフを通じて、アドルフ・ヒットラーの秘密を知る。その秘密とは……!?第2次世界大戦を背景に、3人のアドルフの運命を描く著者の代表作・第1弾。

電子貸本Renta! - アドルフに告ぐにて読了。

何年も前から読みたかった作品。レンタで見つけたので、さっそく読みました。
これはすばらしい。コメントが難しいほどにいろんな感情がわいてきて、なんともいえない余韻が。
全体的にミステリータッチで、そして当時の戦争もあって、悲劇なんですけども、どの登場人物も信念を貫いているのがよかった。なかなかそこまで人間を描ききれる漫画はないです。さすが巨匠だけあるな、とこの年になって思い知らされたほど。生と死と愛と憎しみといったさまざまなものが万華鏡のように繰り広げられていきます。

三人のアドルフのうち、ひとりはヒトラーで知られている史実にありがちな独裁者として登場しています。それがステレオタイプなのが少し残念でしたが、カムラとハイネマンのアドルフの生きる舞台としての役割として考えるならいいのかも。
カムラは全編を通して善良な少年だったのに、ラストでは悲しい結果に。憎しみが憎しみを生むという。
そして一番、衝撃的なのがハイネマン。純粋で優しかった少年が、ヒットラー・ユーゲント(幼年学校)で洗脳に近い教育を受けて、残忍なナチスになっていく姿が恐ろしい。が、ときおり見せた良心の呵責が、悲しさを誘う。
ほかにもいろんなエピソードが盛り込まれていて、ヒトラーや戦争によって人生を大きく狂わしていくひとびとが描かれていました。だからといって「戦争反対」というイデオロギーも表だってないんですよね。そこで日常をおくっている描写がほとんど。そして空襲で身近な人の無情なまでの死。たった一瞬の爆撃で、生と死が分かれてしまう恐ろしさ。戦争を体験した作者だからこそ書けるのかな、とも思いました。

あとがきにあったんですが、これだけ壮大なドラマをたった三ヶ月で準備したというのが驚き。(いえいえ、手塚先生は「三ヶ月もあった」というんだから、これが天才というものなのだろう)
しかもドイツに取材に行っていないというのも、もっと驚き。晩年に描かれたので、体調もあまりよくなかったらしいです。魂心をかけて描いた大河ドラマ。
タグ:★★★
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2012年04月26日

ハプスブルグ家の宮殿

4061497154ハプスブルグ家の宮殿 (講談社現代新書)
小宮 正安
講談社 2004-04-21

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マリア・テレジアの悲願、エリーザベトの苦悩……シェーンブルンは見ていた!皇帝たちの夢と哀しみ

近世以降のハプスブルク皇帝の簡単な歴史と、それにまつわる宮殿について時系列に書かれた内容。
歴史的部分はとてもあっさりしてますが、シェーンブルンなどの宮殿に関する話がメインになっているので、当時の皇帝たちの住まいについて知ることができます。

内向的なレオポルド一世は庭に思い入れがあったり、マリア・テレジアは家族と過ごす空間を大切にしたり、また19世紀半ばから第一次世界大戦まで帝位にについたフランツ・ヨーゼフは時代ごとに近代的な設備を足していったり……と、さまざまなエピソードがありました。
だんだんと帝国としての力を落としていくハプスブルク家ですが、それとは対照的に宮殿は大きく豪勢になっていきます。人々に帝国の威信を示すために、衰えつつある国力から目を背けさせるため。とくにマリア・テレジアの統治ではそれが顕著です。

シェーンブルンの宮殿には神秘的な庭や部屋もあって、魔術を連想させるものも。たくさんの剥製を飾ったり、一度入ったら抜け出せないような迷路の庭、世界中の植物を集めた庭園など。
表舞台で皇帝として統治する傍ら、裏舞台では神秘的な空間で帝国を支えていたのだろう……と著者は書いているのだけども、「そうかな?ただの趣味的要素のような」と私は感じました。神秘的といっても、似たような設備はほかの宮殿にもありそうだし。メイズや薬草園だって、領主の館には付き物。
もう少し宮殿の奥深い部屋や設備のエピソードがあればよかったかなあ。
宮殿というより、皇帝たちの人となりについて書かれた内容が多かったので……。それはそれで面白いんだけど、タイトルと内容がちとずれていて、その点が期待外れでした。
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2012年04月22日

紅艶中国妖女絵巻・中国悪女伝

4821185318紅艶中国妖女絵巻 (まんがグリム童話)
藤田 あつ子
ぶんか社 2007-12-05

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4821188716まんがグリム童話 中国悪女伝
藤田あつ子
ぶんか社 2009-08-10

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電子貸本Renta! - まんがグリム童話 中国悪女伝 電子貸本Renta! - まんがグリム童話 紅艶 中国妖女絵巻で読了。
グリム童話等の古典やお伽話をモチーフにした、ブラックな中国(主に清時代)人間ドラマ。
残酷がウリのシリーズだけあって、ほとんどのお話のオチが後味悪かったです。でも当時の中国の風俗やひとびとが綺麗に描かれているがよかった。あと一話完結だから、気軽に読めるのもよかったです。
悪女伝の王昭君の話が一番よかった!実話だっていうんだから、中国っていろんな意味でダイナミックです。

美女と醜女の描き方がえらく、はっきりしているのにびっくり。あと背景や服が白っぽいのも。
清時代の県知事美青年が主役のシリーズと比べると、絵も話も勢いがないというか。期待していたからでしょうか、ちょっと物足りなかったのが残念でした。
いや、悪女シリーズも面白いんだけども、当時の作品を知っていたら、だれもが思うだろうと……。
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怪盗アレキサンドライト7&8

4821171341怪盗アレキサンドライト 7 (ぶんか社コミックス)
秋乃 茉莉
ぶんか社 2011-03-17

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4821171996怪盗アレキサンドライト 8 (ぶんか社コミックス)
秋乃 茉莉
ぶんか社 2011-08-16

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電子貸本Renta! - 怪盗アレキサンドライトにて読了。

ついに完結。アンリ坊ちゃまとアレキサンドライトとの恋はいかに?
……とどんな展開がまっているかと期待したんですが、あっけなさすぎて拍子抜けw そしていきなりプロポーズってwww そもそも坊ちゃま、いつ怪しい〜と察知したのか。そんな気配まったくなかったんで、一話分で無理やり完結させたっぽいです。

それ以外のお話は人間ドラマ炸裂していて、面白かった。悲しいというか後味悪いのもあるけど、人間の嫌な部分と素敵な部分をうまくバランスよく描いていると思います。
ルージュに惚れるドラ息子(痩せたら美形になるのが笑える)と、まったく無欲の踊り子のお話が好みでした。皇太子や金持ち男からプロポーズされてもまったく興味ないって、どんな心理なんだろ、と思ったら、オチで納得。

19世紀末のパリが好きだったら、おすすめの人間ドラマなシリーズです。絵も背景もきれい。
ただ、ラストがもうちょっとなんとかならなかったのかな……というのが、非常に惜しくもありますが(汗
posted by 夏 at 01:27 | TrackBack(0) | コミック(少女・女性) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする