2016年04月02日

図説 英国のインテリア史&イングランドのお屋敷

4837309070図説 英国のインテリア史
トレヴァー ヨーク Trevor Yorke
マール社 2016-02-18

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英国で、すでに30冊以上が刊行されているトレヴァー・ヨークの歴史的建造物シリーズ、待望の邦訳版! 著者トレヴァー・ヨークの温かみのあるイラストとやさしい解説で、英国のインテリア史が手にとるように分かります。日本版シリーズ第3冊めは、イギリス国内におけるインテリア(室内装飾)の移り変わりを、分かりやすく解説したものです。ひとくちに「イギリスの家具、室内」と言っても、時代を追って見ていくと、大きく変化してきたことが分かります。イギリスの映画やTVドラマ好きの方には、「よく見るこの内装は、この時代特有のものなのか」といった発見が、小説家やイラストレーター、インテリアデザイナーの方には「こういう家具を置くとイギリスらしい雰囲気が出る」などのアイデアが得られるはずです。英国貴族が暮らしたお屋敷(カントリー・ハウス)の内装、ロンドン市内の人びとが住んだ部屋のしつらえ、木彫細工が美しい木製の椅子、アーツ・アンド・クラフツ様式の壁紙などの手描き図版が満載です。英国を舞台にしたイラストや漫画を描きたい方、海外小説の背景を知りたい方、インテリアや建築の歴史に興味がある方、アンティーク家具好きの方におすすめ。

ボリュームが少ないのがやや残念。それ以外はよかったです。

まずチューダー朝から始まり、ジョージ王朝の前後、摂政時代、ヴィクトリア朝前半とアールヌーボーが入る後半+エドワード朝、その後のアールデコ様式となっています。
とくに美しいのが18世紀ごろのお屋敷。フランスのロココ調とはちがう、爽やかでシンプルなイギリスのインテリアを知ることが出来ます。貴族のお屋敷もその当時に建設されたのが多いのでしょう。

細かい装飾や家具についての名称、使い方、デザインは「映像を見る」だけでは理解しづらいんですよね。
でもこれがあれば、いつごろの時代のデザインでどのような名称なのかが理解できるので、西洋ものの小説を書くのに役立つのではないでしょうか。
こういうのってありそうでなかなかないので、もっと昔に出版されていたら助かったのになーと、ジェラシーが出てしまったw

コンパクトにまとめられているのもあって、基本をおさえることができます。
とくによかったのが階段の手すりと壁紙の解説。
資料としておすすめです。

4837309054図説イングランドのお屋敷 ~カントリー・ハウス~
トレヴァー ヨーク
マール社 2015-10-19

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後日読了。
インテリア同様、歴史の流れにそって紹介されています。
お屋敷の外観を知りたい場合と、お部屋について簡単に知りたい場合におすすめ。基本をしっかりおさえることができるため、資料として重宝すると思います。

個人的にはインテリアのほうが、資料として貴重なのもあって活用度が高いかも。
資料としてのおすすめは、あれこれ網羅されているお屋敷バージョン。
タグ:★★★
posted by 夏 at 17:25 | TrackBack(0) | 西洋史(雑学・専門) | 更新情報をチェックする

虹色のトロツキー 全8巻

B012NWOCPG虹色のトロツキー (1)
安彦良和
潮出版社/usio publishing 2015-07-31

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幼い頃に記憶と家族を失った日蒙二世の青年・ウムボルトは、赤化運動の折、憲兵に捕まり拷問を受ける。しかし、関東軍参謀・辻政信によって釈放され、日本軍統治下の満州に建てられた建国大学に入学する事になった。そこで、ロシア赤軍を創ったトロツキーが父の知り合いであること、自分はトロツキーを招き入れる為に軍上層部の思惑によって学校に入れられた事を知らされる。旧満州を舞台に日本軍の政治的陰謀に巻き込まれながらも、強く生き抜く青年の物語が今はじまる。

あらすじのラストは違います。戦争もので主人公が将校になるので、予想のままでした。期待したらがっかりすると思うのであえてネタばらししました(^_^;)

日中戦争直前後の満州が舞台。前半は父がトロツキー計画に関わったことによる、陰謀に巻き込まれ翻弄される内容。
後半は否応無しに戦争へ突入していく日本と満州の兵士たちの悲劇です。
当時のことをよく調べてあって、共産主義が理想の世界と信じるひとびとと、赤化しそうな中国を警戒する関東軍の描写が素晴らしいです。いろいろな意味で(人間の業がよく出ているシーンとか)。生き生きした登場人物たちが、激変する満州のなかを生き抜いていきます。

最後まで読んで思ったのは、結局、理想主義が国を滅ぼしてしまうのだなーということ。
いくら崇高な理念を掲げ、実行しようが、現実に即していないと必ずといっていいほど、歪みが生じてしまいます。
そのほころびから飛び出すように、貧しい人々が匪賊になったり、元王族たちが日本軍を利用しようとします。そして複雑化していき、泥沼、戦争……。すでにそのころから、ソ連のほうが兵器が近代化していたのに、よくあのアメリカと太平洋戦争したなー、と当時の無謀さもわかります。これもまた理想が先走った結果なのでしょうか。

父親はだれに殺されたのかはラスト直前でようやくわかるのですが、謎解きよりも日蒙ハーフの主人公ウムボルトの生き様に圧倒された読後感でした。
強くてまっすぐな生き方がとても美しいです。まさしく理想の少年。
もっと若い時に読んでおけばよかった、素晴らしいマンガ。
posted by 夏 at 17:07 | TrackBack(0) | コミック(少年・青年) | 更新情報をチェックする