2016年05月28日

写真で見るヴィクトリア朝ロンドンとシャーロック・ホームズ

4562052953写真で見るヴィクトリア朝ロンドンとシャーロック・ホームズ
アレックス ワーナー
原書房 2016-02-25

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ロンドン博物館が収集展示した貴重な図版と資料を中心に、ヴィクトリア朝後期のロンドン――コナン・ドイルの生活からホームズが歩いた町並みを活写。
見たことのない古き良きロンドンがここにある。

地図と写真を参考にしながらホームズが活躍したロンドンを紹介する内容――かと思ったら、考察が大半でした。
ホームズが活躍した19世紀末ロンドンについてのあれこれを書いてます。

以下、項目と簡単な内容を紹介。

・(間違った)正体?
……いわゆる序章。ホームズが活躍した当時のロンドンは、警察機構が整ったものあって劇的に凶悪犯罪が低下した時代。諮問探偵であるホームズへの依頼はあまりなかったはず。かといって、つまらない小悪党を捕まえる仕事には興味を持っていないのもあり、たびたび上中流階級の依頼人が訪れるという設定そのものがフィクション=間違ったロンドンのイメージ。
あと作者ドイル自身、ロンドンに定住したのはほんの一年足らずだったため、物語のロンドン描写が薄かった。設定ではホームズはロンドンに詳しいとあるので矛盾している。

・シャーロック・ホームズの”ボヘミアン的な生活習慣”
……ボヘミアン=自由な生活を謳歌する生き方のこと。労働者のようにあくせく働かず、結婚生活に縛られない彼らは、そう呼ばれた。上中流階級の紳士や芸術家、有名俳優など。ホームズもそのひとり。夜になると仲間と集い、飲食喫煙をしながら語らった。厳格だと思われがちなヴィクトリア朝の道徳へのアンチテーゼ。

・シャーロック・ホームズ、シドニー・パジェット、そして<ストランド>
……ドイルは連作形式の連載を初めて試みたことで、ホームズシリーズに多くのファンを作った。長編連載だと途中の号から読み始めた読者は脱落してしまうが、読み切り短編形式だとどの号でも楽しめるという画期的なアイデアだった。登場人物は同じだから、連載もののように愛着がわくのも成功した理由のひとつ。

・シャーロック・ホームズのアート
……当時のロンドンの街を描いた絵画の紹介と解説。

・ホームズを切り捨てる
……連載当初は現代的な探偵だったホームズだが、休載ののち復活したころは時代遅れになっていた。20世紀以降、常に近代化するロンドン。町並みはすっかり変わり、情報伝達も桁違いに増え、ラジオの登場。そして世界大戦で、さらに時代は進むも、物語のなかのホームズは19世紀末のまま。それでも絶大な人気があったホームズを、結局ドイルは切り捨てることができなかった。

・無声映画のシャーロックたち
……ドイルが存命のときからすでに劇場化、そして映画されたホームズもの。1911年に著作権法ができるまでは、無断上映や海賊版が横行していた。19世紀末を舞台にした映画は以外に少なく、上映されたその時代を舞台にしたドラマが大半だった。

ロンドンとホームズの写真やイラストがたくさんありますが、資料としては少し弱いかもしれません。ホームズ好きなら読み物として楽しめます。
当時のロンドンの雰囲気や出版事情について知りたかったらおすすめです。
タグ:★★★
posted by 夏 at 21:29 | TrackBack(0) | 西洋史(雑学・専門) | 更新情報をチェックする

2016年05月07日

読書メーター退会しました

なんとなく覗いてみたら一年以上、投稿していなかったのでやめました。
あと、本を読むスピードが積読に追いつかず、それ以上増やさないために閲覧していなかったのもあります。
私のアカウントを見ている人はもういないと思いますが、一応、おしらせ。
posted by 夏 at 17:09 | TrackBack(0) | おしらせ | 更新情報をチェックする

2016年05月06日

呪われた男 全2巻

B013OBZSXU呪われた男 1 (プリンセス・コミックス)
紫堂恭子
秋田書店 2015-05-15

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誰もが避ける通称“幽霊峠”。故郷への旅路を急ぐジャックはそこをどうしても通らなければならなくなる…。その道中、ブライクという素性の不明な男と出会うが、彼は大きな秘密を抱えていて…!? ワケあり美男のロード・ファンタジー開幕!!

他のシリーズものが出ないのが残念ですが、これはきちんと完結しているのでよかったです。
安定した面白さと画力の美しさは変わらず。
シリアスな設定とは裏腹に、超絶後ろ向きな魔物バスターの主人公と、お調子者の同行者のかけあいが笑えます。あと、悪魔(?)のチワワ嬢も腹黒なのかそうでないのか、ドジなところが魅力的です。

で、ラストの様子からすると、まだ続いてもおかしくない余韻。
もう少し読みたかったなーというのが一番の感想。
posted by 夏 at 16:41 | TrackBack(0) | コミック(少女・女性) | 更新情報をチェックする

安部窪教授の理不尽な講義 全2巻

B00BH94824安部窪教授の理不尽な講義(1) (ビッグコミックススペシャル)
滝沢聖峰
小学館 2006-06-30

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この世に起こる“森羅万象”“魑魅魍魎”すべてに明解に答え、知識の極北に立つ男・安部窪太教授。優雅なティータイムをこよなく愛する男が不可解な事象に挑む、怪奇現象解明ミステリー!!

女流飛行士マリア・マンテガッツァの冒険が面白かったので、別の作品を購読。これも面白かったです。
まず安部窪教授のキャラがいい。無愛想、堅物、厳格で学生たちから恐れられているのに、教授を慕う主人公沢田と宮嶋には父親のような存在。まったく笑わなくても、彼なりに学生を好いているのがわかります。

内容はシュールなギャグ寄りで、超常現象をこれでもか、とばっさり否定するのがかっこいい。その超常現象をテレビ局がとくダネとして放送するのが笑えます。宗像教授シリーズに少し雰囲気が似てるなーと思いました。
読みきり短編シリーズなのもあり、気軽に読めるのもよかったです。

ヒロイン宮嶋さん。当初は真面目な教授のアシスタント風だったのが、だんだん行動的でかわいくなってます。画風の変化も楽しめます。ただ、教授はまったく変わらないのが笑えますがw
独身なのかと思ったら、まさかの娘登場。しかし全然似ていない……。
posted by 夏 at 16:35 | TrackBack(0) | コミック(少年・青年) | 更新情報をチェックする

2016年05月05日

女流飛行士マリア・マンテガッツァの冒険 1~2巻

B00WW8ISF2女流飛行士マリア・マンテガッツァの冒険(1) (ビッグコミックス)
滝沢聖峰
小学館 2015-03-04

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第1次世界大戦は航空機のめざましい進歩と、銃後の女性の社会進出を呼び覚した。新時代の空を駆ける女性パイロット、その名はマリア・マンテガッツァ!
行方不明の英国諜報部所属の父を求めつつ、危険な空域も、美しい天空も、さらなる冒険をいとわず、今日もそして明日も、飛びます!

ポイント期限が切れそうだったので、なんとなく探して見つけたマンガ。時代と雰囲気が好みだったのでサンプル読んで即購入。久しぶりの大当たりでした!

第一次世界後のヨーロッパと中東、アフリカを舞台に、郵便複葉機を自由自在に操って冒険する主人公がかわいい。そしてかっこいい。全盛期より活躍しているとはいえ、まだまだ女性蔑視が強い時代のなか、美貌と機知と勇気で、困難を乗り越えます。
それでいてシリーズ短編なので、話がまとまっていて読みやすい。登場人物も往年の映画のように、みな爽やかだから読後感も良いです。

あと、歴史ものが大好きなのが、作品からバンバン伝わってきて、読んでいるほうも描写のあれやこれやに釘付け。社会が機械化する黎明期のレトロ感満載。
少し大人向けの冒険活劇マンガです。20世紀初頭ごろの歴史ものがお好きなら、とってもおすすめします。もちろん、そうじゃなくても、楽しめます。あまり知られていないのが残念なほど……。

1巻と2巻のあいだが丸一年空いていたから、3巻は来年の春かも。待ちきれない……(^_^;)
posted by 夏 at 00:10 | TrackBack(0) | コミック(少年・青年) | 更新情報をチェックする