2017年02月26日

クリスティ・ハイテンション 全7巻


クリスティ・ハイテンション 1<クリスティ・ハイテンション> (コミックフラッパー)
霧深き19世紀ロンドン。わずか数平方マイルに数百万もの人々がひしめき、彼らが望み、企み、絶望するがゆえ起こる幾つもの難事件。名探偵と名高きシャーロック・ホームズの姪クリスティがつまびらかにする真実が人々を救い導いていく。今日も彼女は事件と出会う…。伯父に劣らぬ明晰な頭脳で真実を射抜く可憐な美少女クリスティ。そして彼女を支えるひと癖もふた癖もあるメイドたち―ノーラとアンヌマリー。彼女達の前に、悪しき策謀は瞬かない!

いわゆるホームズもののパスティーシュ。原作の事件が表とすると、クリスティ嬢はその裏で密かに活躍する内容です。叔父であるホームズに似て頭脳明晰で行動的な令嬢が、拳銃と鞭使いのメイドを従えて冒険するさまがかっこよくて楽しい。
大ベテランの大御所が描くだけあって、どのお話も安定して面白いです。無駄がまったくなく、クリスティの愛らしさが存分に描かれているのが見どころ。そしてヴィクトリア朝の背景や小物が美しく描かれているのもよかったです。
そのなかで起きる血なまぐさい事件。華麗さと残酷さがうまく混じり合い、19世紀らしい雰囲気がたっぷりでした。とくに女性陣が生き生きしていて、ホームズとワトスンは脇役ですw

だからこそ、残念だったのがラストの7巻。謎解きはほとんどなく、アクションだけで解決したのが物足りなかったというか……。パスティーシュ編よりもミステリーらしさがなかった。いかにも新谷ワールドって感じ(^_^;)

ヴィクトリア朝を舞台にした完成度の高い漫画でした。ホームズ好きはもちろん、メイド好きにも楽しめる内容になっています。


クリスティ・ロンドンマッシブ 1 (コミックフラッパー)
↑続編。全5巻。

17歳になったクリスティはあい変わらず事件大好きなお転婆令嬢。年頃になったので、社交界にも出てみるも、結婚相手探しに興味がない姿は予想通りでした。
かわいいにきれいが加わったクリスティのイラストがとっても美しい。事件もテンポよく進み、あの宿敵モリアーティ教授がホームズ以上に登場。悪漢なりの美学に惹かれます。

が、気になったのが、新登場したメイドたちの能力。怪力、邪眼まではまだ許容範囲としても、悪魔召還はどうよ?と思った。そこだけファンタジックになってしまい、ストーリーと世界観のバランスが悪い。悪魔召喚で解決するのはルール違反のような……。
レビューでも同意見がたくさんあったので、やっぱりおかしいよなーと。
さすがに3巻目からは、超能力は控えめに描かれ、完結巻ではまったくありません。苦情いっぱいあったのだろうなーと。

その点をのぞけば、ミステリーとアクションに、生き生きしたキャラクターが楽しめるヴィクトリアンマンガです。ラストは駆け足でしたが、令嬢ロマンスらしい終わり方でした。
posted by 夏 at 19:43 | TrackBack(0) | コミック(少女・女性) | 更新情報をチェックする

坊っちゃんの時代 全5巻


坊っちゃんの時代 : 1 (アクションコミックス)
<明治>という時間軸に交錯する群像を、関川夏央の気鋭の原作を得て、名手・谷口ジローが渾身の力で描いた話題作。歴史上の人物たちの同時代的邂逅が意表を突く!!

夏目漱石が主人公で、小説坊っちゃんができるまでの日々。
あらすじと表示でお堅いイメージしがちですが、内容はおちゃめな漱石さんがたっぷり出てきますw そして当時の明治の文豪や歴史的人物がたくさん登場し、ときにすれ違うというノン・フィクションっぽい雰囲気が面白い。教科書で知ったあの人はこんな生き方をしていたのか、とユーモアとシリアスを交えて描かれてます。

全5巻のうち、かなり意外だったのが石川啄木。働けど働けどわが暮らし楽にならず、という印象が強いのですが、じつはとても浪費家で女好き。しかも愛想がとっても良くて忘れっぽいものだから、借金がどんどん膨らんでしまいます。だから毎日、どう金策するのかばかり。
生前は文学者として無名だったのもあって、漱石や白秋らを羨む描写が人間らしいです。若くして亡くなりますが(それは作中には描かれず)、奥さんと娘さん、啄木の詩集が売れてよかったですね、としか言いようがないぐらいのクズっぷりでした。

ほかに森鴎外と舞姫エリスとの苦い恋や、飼い猫を失った漱石が臨死する話、大逆事件にまつわる明治の人々と不安、が芸術的に描かれています。やや難解で読み手を選ぶ作風ですが、明治や文学者に興味があればおすすめです。
ただし、ストーリー的に弱い部分があって、オチがない話が多いんだけど、これは明治という時代を読む作品なのでしょう。一コマ一コマからあふれる明治の人々の生き方をじっくりと楽しめます。

その他読んだ漫画


↑初々しいとしか表現しようがないほど、かわいいパリヤとウマルの恋! こんな幸せそうなカップルいるのか、思うほどラブ全開でした。今で言うコミュ障のパリヤちゃんが幸せになるのが本当にうれしくて……。同じ思いをしているのは私だけでないはずw
当時のムスリムの価値観がところどころにあって、未婚の男女が一緒に出かけることすらタブーなのが歴史を感じました。乙嫁の世界ではそれも緩く描かれているから安心できるけど、現在も変わっていないのを思うと複雑です。


↑伊藤の元雇い主であるマリーズ氏が気になる終わり方でした。ひとくせありそうな氏と伊藤には何が合ったのだろうか。原作を読みたくなるも、バード女史視点だからそれは書かれてないのかな? どの資料をあたっているのか気になります。
バード女史がかわいい。写真のイメージ(中年だし)とぜんぜんちがうけどw


↑本編はあまり進まず、番外編が多かった。どのお話も飛行機マニアっぷりが伺えて楽しいです。あい変わらずのマリア嬢の豪快ぶりにすっきりします。次出るの一年後でしょうか……長いな(^_^;)
posted by 夏 at 19:30 | TrackBack(0) | コミック(少年・青年) | 更新情報をチェックする

2017年02月19日

この世界の片隅に・夕凪の街 桜の国


この世界の片隅に : 上 (アクションコミックス)
戦中の広島県の軍都、呉を舞台にした家族ドラマ。主人公、すずは広島市から呉へ嫁ぎ、新しい家族、新しい街、新しい世界に戸惑う。しかし、一日一日を確かに健気に生きていく…。

ポイント50%だったので購読してみました。(本日まで)話題映画の原作だけあり、とてもよかったです。
ほのぼのしているのに、だんだんと戦争の影が濃くなり、ついに……というお話しなんですけど、残虐なシーンはほとんどありません。淡々と当時の生活が描かれています。
レビューにもたくさんあったように、戦争モノにありがちなイデオロギーがないから、純粋な物語として楽しめました。
親同士が決めた結婚でも、思いやりがあればうまくいくストーリーに心が温かくなり。舅姑さんもいい人で、義姉さんはキツイけど、根が優しい人。でも戦争が大切な家族を容赦なく奪うシーンが悲しい。
コレ読んだら、アニメ映画版も見たくなってきた。いつか機会があれば観てみたい。
そういえば冒頭とラストに出ていた怪物――あれってヒバゴンかもしれない。比婆山にいるという噂の獣人怪物で、まあイギリスのネッシーみたいなもんですw


夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)
この世界の片隅にがよかったので、こちらも購読。
当時、よくあっただろう話を短編漫画にした内容でした。ラストは「ああ、やっぱり……」と悲しい。
レビュー読んだら、衝撃的なラストに涙した、というのがたくさんあったけど、地元の人間としては複雑な気分。平和学習とかでうんざりするほど、こういう話を聞かされて育ったから、今更あまりこういうの読みたくないなーと思っていて、話題になっても読む気はしませんでした。
でも、地元以外ではは知らない人が多いのか、というのに少し驚いたというか。だから、この漫画は素晴らしいです。放射能の恐ろしさを、マイルドにしかし残酷に描いています。
ちなみに主人公兄弟姉妹の名前は、すべて町の名前です。今でも現存しています。


あとかたの街(1) (BE・LOVEコミックス)
↑全5巻。同じくイデオロギーが出ていない、戦争漫画です。こちらは少女一家の視点で、名古屋大空襲の惨劇が描かれています。読みやすくてほのぼのしていますが、戦争の影が一家をじょじょに苦しめていく描写に胸が痛みます。
posted by 夏 at 15:37 | TrackBack(0) | コミック(少女・女性) | 更新情報をチェックする

2017年02月11日

オペラの運命 十九世紀を魅了した「一夜の夢」


オペラの運命 十九世紀を魅了した「一夜の夢」 (中公新書)
オペラ――この総合芸術は特定の時代、地域、社会階層、そしてそれらが醸し出す特有の雰囲気ときわめて密接に結びついている。オペラはどのように勃興し、隆盛をきわめ、そして衰退したのか。それを解く鍵は、貴族社会の残照と市民社会の熱気とが奇跡的に融合していた十九世紀の劇場という「場」にある。本書は、あまたの作品と、その上演・受容形態をとりあげながら「オペラ的な場」の興亡をたどる野心的な試みである。

いわゆるオペラの歴史です。ただし作品の解説ではなく、あくまでもオペラの始まりから衰退までの流れです。劇場=オペラ空間と観客たち、に焦点があてられているという、まさに歴史書でした。そこがよかったです。

オペラは17世紀、絶対王政のバロック時代のイタリアが発祥。王が資金に糸目をつけず、豪華絢爛な舞台を祭りとして披露したのが始まりです。
ギリシャ悲劇復興をテーマにした宮廷舞台でしたが、内容はそっちのけ。とにかく非現実を演出する一大スペクタクルの祝賀祭典でした。(オペラ・セリア)
そのとき大活躍したのがカストラートという、男性歌手。男なのにまるで少年のような声で歌う姿で、人々を魅了したのです。以前、映画のノベルズを読んだのでこちらを参照。
面白いのは同じキリスト教でもカトリックだったからこそ、実現可能だったオペラであること。勤労と清貧を信条とするプロテスタントだとありえないお金の使い方だったそうです。

やがて18世紀後半、ロココ時代になると、モーツァルトが登場します。
バロック時代のオペラはあくまでも宮廷行事であり、庶民はもちろん市民が観賞することは不可能でした。王族貴族の贅沢な行事に、市民たちに非難されるようになります。啓蒙と王の力(財力)が落ちていった時代でもありました。
そんなとき登場したのが、オペラ喜劇(オペラ・ブッファ)。将来の凋落を予感しはじめた貴族たちが夢中になって、馬鹿騒ぎの劇を楽しむようになります。
そんなとき、颯爽と登場したのは作曲家であり、戯曲家のモーツァルト。有名なのがフィガロの結婚です。
当時、大仰で格式張ったオペラ・セリアは飽きられ、陽気な喜劇は人間的な男女が舞台に立ちました。どたばたの恋愛劇な人間臭いドラマへと変化します。当時のオーストリア皇帝、ヨーゼフ二世も大の喜劇好きでした。とくにモーツァルトが、人間的なドラマを描くのが得意でした。

フランス革命を経て、19世紀になると、フランスでは庶民たちが力を持つようになります。贅沢ができなくなった貴族の代わりに、成金――ブルジョワたちが貴族社交界の真似事として、オペラを観賞しました。
しかし教養があまりないブルジョワたちには、オペラ観賞は退屈そのもの。そして社交が目的だったため、観賞そっちのけで、ボックス席の客同士で雑談やトランプをして楽しみました。
ブルジョワたちのためにオペラは理解しやすく、壮大なものへ変わります。歴史や外国の風景と、コスチューム姿の群衆で再現し、メロドラマ的な作品が大流行します。(グランド・オペラ)
現代でいう、エンターテイメント化して、中流階級だけでなく庶民も平土間でオペラを楽しみました。

19世紀なかばに登場し、国民オペラを作ったのがワーグナー。オペラを知らなくても、その名前はだれもが聞いたことがあるほど有名です。
当時のドイツはオペラ後進国でした。なぜなら、オペラ作家を目指すにはイタリアかフランスへ留学するのが前提だったからです。しかし自国のオペラがないことにドイツの人々は不満を持ってました。
そんな時代、放蕩王で知られたバイエルンのルートヴィッヒ二世がパトロンとなり、ワーグナーを支援。彼は壮大なドイツ神話のオペラを作曲しました。ニュルンベルクの指輪、がそれです。
王の莫大な支援があったからこそ、できたオペラともいえます。その豪華絢爛な劇は、バロック次代から続く、非現実な一大スペクタクルの空間を作るオペラの本質そのものでした。

ほかにも隆盛を極めたオペラは文化の象徴になり、ブラジルやエジプトでも作られ、上演されました。しかし作曲はほとんど、イタリア、フランス人だったといいます。(エキゾチック・オペラ)

そんなオペラも第一次世界大戦後、一気に衰退しました。なぜなら、あまりにも悲惨な戦争だったため、人々は作り物の悲劇や豪華絢爛舞台に興味がなくなったのです。
そしてフィルム映画の登場で、さらにトドメを刺されてしまい、現代のように古典としてオペラは存続しています。

西洋の近代歴史が好きだったらおすすめです。オペラに興味がなくても、文化史として楽しめます。
ラベル:★★★
posted by 夏 at 20:51 | TrackBack(0) | 西洋史(雑学・専門) | 更新情報をチェックする

NAVERまとめにある記事を移転させました

twitterにも投稿しましたが、すぐに流れてしまうだろうからブログにも投稿しておきます。



まとめの内容を読まずに機械的に削除しているのが丸わかりです。
でも粘っても面倒なので、すぐに移転させました。そもそもまとめに固執するほどアクセスある記事じゃないですし、以前より読まれなくなったなーと思っていたのでよい機会でした。

移転先⇒偉人たちの素顔~世界史コラム
http://history.ashrose.net/

話は変わりますが、Amazonアソシエイト用リンクでお世話になっていた、G-Toolsさんが消失してしまいました。十年ぐらい使っていたのでショックです(T_T)
貼り付けるとき、お世話になっているのもあって、G-Toolsさんへのリンクをつけたままにしていました。が、リンク先がページ無しの状態だから、グーグルペナルティで検索がさらに減るかもしれません。
かといってすべて消すにはあまりにも数が多すぎて…………。
復活してくれれば一番ですが、怪しいサイトになってしまったら困るなと、悩みです。
だからこれからリンクを貼る時は、公式から作成していくのが面倒でも一番堅実。Amazonが閉鎖することはまだまだないだろうでしょうからw

一応、検索してみたら別ドメインでまだありました。
でもリンク作成したあと、会社名リンクをクリックしてみたらやっぱり前のまま(^_^;)
ということは、本家ドメインも管理されていない可能性があります。していたら、消失したドメインも更新するでしょうから。

追記
翌日、リンク先が復活していました。
ああ、よかった。
また利用するかどうかは検討中です。
便利だから継続したいんだけどな、悩み中……。
また使うとしたら、申しわけないけどツール作成元へのリンクは除外させていただきます。ブログのリンク集で紹介します。
posted by 夏 at 19:46 | TrackBack(0) | おしらせ | 更新情報をチェックする