2014年02月01日

毒入りチョコレート事件

4488123058毒入りチョコレート事件【新版】 (創元推理文庫)
アントニイ・バークリー 高橋 泰邦
東京創元社 2009-11-10

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ロジャー・シェリンガムが創設した「犯罪研究会」の面面は、迷宮入り寸前の難事件に挑むことになった。被害者は、毒がしこまれた、新製品という触れ込みのチョコレートを試食した夫妻。夫は一命を取り留めたが、夫人は死亡する。だが、チョコレートは夫妻ではなく他人へ送られたものだった。事件の真相や如何に?会員たちは独自に調査を重ね、各自の推理を披露していく―。

変わった趣向のミステリー。古典とは思えないほど、面白かったです。
で、結局真犯人はだれなんだ?
という野暮なツッコミをあえてさせる、ラストが心憎い。6人6様の推理がどれもきちんと筋が通っていて、なおかつ、ストーリーを作ってしまえばだれでも犯人になるうる、というその設定が新鮮でした。
証拠が少ない事件のため、各人の推理がてんでバラバラなんですよね。そしてメンバーをも犯人にしてしまうやりとりにハラハラします。

主人公らしき紳士ロジャーが真犯人を当てる、と思うじゃないですか、普通。
それがラストではなく、半ばで推理を披露し、そこで終わり、と思ったら、なんとその後のメンバーがさらにべつの推理を披露して、さらに混乱するのです。
主人公なのにまったくかっこよくないロジャー(笑)

あとがき読んで思ったんですが、どうやら作者のバークリーは、小説を書くことそのものが好きでなかったよう。推理小説を書いたのは、当時、一世を風靡しており、手っ取り早くお金を稼げたから(!)
現にブームが去ると、大金を手にしたバークリーは、小説家を引退してしまいます。なんと割り切った作家人生。
だからでしょう、主人公の探偵への思い入れが薄いというか、かっこよくさせようとする気がないのは。あくまでも小説の駒であり、スーパーヒーローが活躍する推理小説への、アンチテーゼなのです。

あと、1920年代ごろのイギリスの雰囲気もよく出ており、満足な読後感でした。


ラベル:★★★
posted by 夏 at 21:47 | TrackBack(0) | 小説-ミステリー | 更新情報をチェックする

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