2016年03月05日

自由と規律-イギリスの学校生活

B0183IMPDU自由と規律-イギリスの学校生活 (岩波新書)
池田 潔
岩波書店 1949-11-05

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ケンブリッジ、オックスフォードの両大学は、英国型紳士修業と結びついて世界的に有名だが、あまり知られていないその前過程のパブリック・スクールこそ、イギリス人の性格形成に基本的な重要性をもっている。若き日をそこに学んだ著者は、自由の精神が厳格な規律の中で見事に育くまれてゆく教育システムを、体験を通して興味深く描く。

1920年代、英国のパブリック・スクールで学んだ著者の体験記。
おおー、新書でこういうのがあったの知らなかった。たまたま見つけたときは、嬉しくてすぐ購入して読みましたw
いわゆるパブリック・スクールとはイギリス人にとって何なのか、という前半の解説と、実際、著者が体験した寄宿生活を簡単に記した内容。
19世紀なかばごろを記した別の新書(英国パブリック・スクール物語)より、半世紀ほど時代が下った20世紀だけあって、生徒たちは洗練されていました。
暴力やいじめがほとんどなかった、というのがすごい。未成年が集まると、どうしてもクラス内カーストみたいなのができるのが普通だから。
それは監督生の存在が大きくて、彼らが仲裁をし、弱い者の味方をするからだそうです。

でも、内向的で芸術肌の生徒は、なかなか馴染めず苦労したそう。いわゆる、体育会系が有利になっていて、スポーツの花形選手は尊敬されるも、団体行動とスポーツが苦手な生徒は居場所がなかったそうです。音楽はまだしも、絵画や文学に傾倒することは軽蔑の対象でした。
でもいじめがなかったってあるから、陰湿な仲間はずれとかだったのでしょうか?そのあたりの詳細がなかったので、想像になってしまいますが……。

大学へ進学すると、がらりと環境が変わり、学校生活は優雅になります。
質素だった食事が豪勢になり、時間に縛られていた生活がなくなって、ひとりの紳士として扱われます。
なぜ、パブリック・スクールは規律が厳しいのかというと、未熟な少年のうちに辛抱や美徳を叩き込み、自由な大人の世界で、ひとりの自立した紳士として活躍できるよう、訓練される場だからです。

現代のように子供のときに甘やかしすぎると、大人になったとき自立しづらいのだというのが、昔から続く英国の常識だったようです。
posted by 夏 at 19:41 | TrackBack(0) | 西洋史(雑学・専門) | 更新情報をチェックする
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