2017年07月30日

フイチンさん 全10巻~日本初の女性漫画家。波乱万丈の一生ドラマ。


フイチン再見!(1) (ビッグコミックス)
漫画家・上田としこ。1917年(大正六)生まれ、2008年(平成二〇)没。これは、まだ誰も歩いたことがなかった「女流漫画家」という道を拓いた一人の実在した「女」を主人公とした物語である。上田としこという一人の素っ頓狂な少女が、戦前の満州ハルピンの高く広い空に、想像の絵を思いうかべた時から、日本の、女の、「漫画の歴史」ははじまったともいえる。村上もとかが渾身の力を込めて描く、漫画の青い青い春。

日本初の女性漫画家の生涯を描いたドラマ。まるで小説のような濃い内容。
満州生まれのとしこが当時、偏見が強かった漫画家への道を歩むのですが、それがもう波乱万丈そのもの。青春時代、ちょうど戦争があったため、マンガどころじゃない日々もあります。それでも明るくめげず、満州から帰国するシーンがむごいにもかかわらず、はらはらしながら読めました。

戦争に負けたとたん、今まで仲良くしていた○国の人の豹変ぶりが恐ろしい。が、最後まで親しくして、心を尽くしてくれた使用人たちもいたから、どこにもいい人とそうじゃない人がいるんだ、なと。
あと、当時の東京の描写がたくさんあって、それもまたレトロでよかったです。あの手塚先生の意外な一面も描かれたり、漫画界のころもあったりと、濃い内容でした。

複雑だった父と母の関係、父の戦犯死刑、そしてその影響を受けた姉は生涯未婚で、としこを支えてましたが、兄は戦死、弟は戦時の病気が原因で40代で死去。
女ばかりの家庭を支えるため、戦後再デビューをして必死に漫画を描きます。結婚もそれでうまくいかず離婚。後年は若い新人たちが活躍できるように――とくに女性たちへの道を開きます。まさしく漫画の母。

明るくめげず、妥協せず、強く、そして男たちにも負けず、どこまでも突き進む姿は漫画家というより、開拓者そのものでした。だからこそ、日本初の女性漫画家(当時は少女漫画も男性が描いていた)になれたのでしょう。昨今のような内向的な性格だったら、まず無理そうだ(^_^;)

満州と女性漫画家いうフレーズで興味を持って購読したのですけど、残念ながら、この作品を読むまでフイチンさんは知りませんでした。たしかに絵は見覚えあるんですけど、どんな作品なのか、ぜひ読んでみたいです。電書ででないかな……。
posted by 夏 at 21:10 | TrackBack(0) | コミック(少女・女性) | 更新情報をチェックする

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