2017年07月30日

ポーの一族 ~春の夢~ 40年ぶりの続編はサスペンスチック。


ポーの一族 ~春の夢~ (フラワーコミックススペシャル)
不朽の名作「ポーの一族」から40年。ついに新作の続編がコミックスに!!
永遠の時を生きるバンパネラ(吸血鬼)であるエドガーとアランは、
1940年代戦火のヨーロッパ、イギリス郊外でナチスドイツから逃れてきたドイツ人姉弟と出逢う・・・
そしてその出逢いが新たな運命の歯車をまわす―――

発売日にダウンロードしました!

……予想どおりというか、やっぱりというか、当時の絵柄と違うのはもちろん、雰囲気がかなり違ってました。叙情的だったのが、リアルな群像劇に変わってた――そもそも、90年代ぐらいからずっと群像劇っぽかったのだから、叙情的なのを期待はしてなかったですけども。

エドガーがあまり変わってないのがよかった。が、アランがひたすらわがままだけなので、以前より子供っぽくなったような……。
そして新キャラの同族登場によって、ストーリーに深みが出てます。バンパネラの一族の設定が明快に解けていくのが面白かったです。昔はぼんやりとしていて、ファンタジックだったのが、サスペンスちっくになったのに好みがわかれるかも。私はサスペンス系のほうが好きですが。

というわけで、これはこれで別のポーの一族として読めば面白いです。バンパネラ一族の謎が解け始めたところで、終わったから、次巻もあるのでしょうか。そんな雰囲気で終わってました。

レビューもわたしと同じ意見が目立っていて、当時と別の作品として読めば素晴らしい。というものがほとんどでしたw なかには納得できない、というのもあって、とくにリアルタイム読者だとそう思うのかもしれません。
私は80年代後半ぐらいから萩尾作品を読み始めたので、ぎゃくに始めてポーの一族を読んだ時あまりにも雰囲気がちがうから、びっくりしましたけど。

でもずっと同じ作風だと飽きられます。その時代、時代の流行があるし、作者も歳を重ねれば若い時と異なった価値観や感性に変わりますし、とくに少女漫画はその傾向が強いです。
デビューされてからずっと第一線で活躍されているだけあり、ストーリーの巧みさで楽しめます。ラストが少し悲しいけど、それもポーらしいです。
posted by 夏 at 21:27 | TrackBack(0) | コミック(少女・女性) | 更新情報をチェックする

フイチンさん 全10巻~日本初の女性漫画家。波乱万丈の一生ドラマ。


フイチン再見!(1) (ビッグコミックス)
漫画家・上田としこ。1917年(大正六)生まれ、2008年(平成二〇)没。これは、まだ誰も歩いたことがなかった「女流漫画家」という道を拓いた一人の実在した「女」を主人公とした物語である。上田としこという一人の素っ頓狂な少女が、戦前の満州ハルピンの高く広い空に、想像の絵を思いうかべた時から、日本の、女の、「漫画の歴史」ははじまったともいえる。村上もとかが渾身の力を込めて描く、漫画の青い青い春。

日本初の女性漫画家の生涯を描いたドラマ。まるで小説のような濃い内容。
満州生まれのとしこが当時、偏見が強かった漫画家への道を歩むのですが、それがもう波乱万丈そのもの。青春時代、ちょうど戦争があったため、マンガどころじゃない日々もあります。それでも明るくめげず、満州から帰国するシーンがむごいにもかかわらず、はらはらしながら読めました。

戦争に負けたとたん、今まで仲良くしていた○国の人の豹変ぶりが恐ろしい。が、最後まで親しくして、心を尽くしてくれた使用人たちもいたから、どこにもいい人とそうじゃない人がいるんだ、なと。
あと、当時の東京の描写がたくさんあって、それもまたレトロでよかったです。あの手塚先生の意外な一面も描かれたり、漫画界のころもあったりと、濃い内容でした。

複雑だった父と母の関係、父の戦犯死刑、そしてその影響を受けた姉は生涯未婚で、としこを支えてましたが、兄は戦死、弟は戦時の病気が原因で40代で死去。
女ばかりの家庭を支えるため、戦後再デビューをして必死に漫画を描きます。結婚もそれでうまくいかず離婚。後年は若い新人たちが活躍できるように――とくに女性たちへの道を開きます。まさしく漫画の母。

明るくめげず、妥協せず、強く、そして男たちにも負けず、どこまでも突き進む姿は漫画家というより、開拓者そのものでした。だからこそ、日本初の女性漫画家(当時は少女漫画も男性が描いていた)になれたのでしょう。昨今のような内向的な性格だったら、まず無理そうだ(^_^;)

満州と女性漫画家いうフレーズで興味を持って購読したのですけど、残念ながら、この作品を読むまでフイチンさんは知りませんでした。たしかに絵は見覚えあるんですけど、どんな作品なのか、ぜひ読んでみたいです。電書ででないかな……。
posted by 夏 at 21:10 | TrackBack(0) | コミック(少女・女性) | 更新情報をチェックする

2017年02月26日

クリスティ・ハイテンション 全7巻


クリスティ・ハイテンション 1<クリスティ・ハイテンション> (コミックフラッパー)
霧深き19世紀ロンドン。わずか数平方マイルに数百万もの人々がひしめき、彼らが望み、企み、絶望するがゆえ起こる幾つもの難事件。名探偵と名高きシャーロック・ホームズの姪クリスティがつまびらかにする真実が人々を救い導いていく。今日も彼女は事件と出会う…。伯父に劣らぬ明晰な頭脳で真実を射抜く可憐な美少女クリスティ。そして彼女を支えるひと癖もふた癖もあるメイドたち―ノーラとアンヌマリー。彼女達の前に、悪しき策謀は瞬かない!

いわゆるホームズもののパスティーシュ。原作の事件が表とすると、クリスティ嬢はその裏で密かに活躍する内容です。叔父であるホームズに似て頭脳明晰で行動的な令嬢が、拳銃と鞭使いのメイドを従えて冒険するさまがかっこよくて楽しい。
大ベテランの大御所が描くだけあって、どのお話も安定して面白いです。無駄がまったくなく、クリスティの愛らしさが存分に描かれているのが見どころ。そしてヴィクトリア朝の背景や小物が美しく描かれているのもよかったです。
そのなかで起きる血なまぐさい事件。華麗さと残酷さがうまく混じり合い、19世紀らしい雰囲気がたっぷりでした。とくに女性陣が生き生きしていて、ホームズとワトスンは脇役ですw

だからこそ、残念だったのがラストの7巻。謎解きはほとんどなく、アクションだけで解決したのが物足りなかったというか……。パスティーシュ編よりもミステリーらしさがなかった。いかにも新谷ワールドって感じ(^_^;)

ヴィクトリア朝を舞台にした完成度の高い漫画でした。ホームズ好きはもちろん、メイド好きにも楽しめる内容になっています。


クリスティ・ロンドンマッシブ 1 (コミックフラッパー)
↑続編。全5巻。

17歳になったクリスティはあい変わらず事件大好きなお転婆令嬢。年頃になったので、社交界にも出てみるも、結婚相手探しに興味がない姿は予想通りでした。
かわいいにきれいが加わったクリスティのイラストがとっても美しい。事件もテンポよく進み、あの宿敵モリアーティ教授がホームズ以上に登場。悪漢なりの美学に惹かれます。

が、気になったのが、新登場したメイドたちの能力。怪力、邪眼まではまだ許容範囲としても、悪魔召還はどうよ?と思った。そこだけファンタジックになってしまい、ストーリーと世界観のバランスが悪い。悪魔召喚で解決するのはルール違反のような……。
レビューでも同意見がたくさんあったので、やっぱりおかしいよなーと。
さすがに3巻目からは、超能力は控えめに描かれ、完結巻ではまったくありません。苦情いっぱいあったのだろうなーと。

その点をのぞけば、ミステリーとアクションに、生き生きしたキャラクターが楽しめるヴィクトリアンマンガです。ラストは駆け足でしたが、令嬢ロマンスらしい終わり方でした。
posted by 夏 at 19:43 | TrackBack(0) | コミック(少女・女性) | 更新情報をチェックする

2017年02月19日

この世界の片隅に・夕凪の街 桜の国


この世界の片隅に : 上 (アクションコミックス)
戦中の広島県の軍都、呉を舞台にした家族ドラマ。主人公、すずは広島市から呉へ嫁ぎ、新しい家族、新しい街、新しい世界に戸惑う。しかし、一日一日を確かに健気に生きていく…。

ポイント50%だったので購読してみました。(本日まで)話題映画の原作だけあり、とてもよかったです。
ほのぼのしているのに、だんだんと戦争の影が濃くなり、ついに……というお話しなんですけど、残虐なシーンはほとんどありません。淡々と当時の生活が描かれています。
レビューにもたくさんあったように、戦争モノにありがちなイデオロギーがないから、純粋な物語として楽しめました。
親同士が決めた結婚でも、思いやりがあればうまくいくストーリーに心が温かくなり。舅姑さんもいい人で、義姉さんはキツイけど、根が優しい人。でも戦争が大切な家族を容赦なく奪うシーンが悲しい。
コレ読んだら、アニメ映画版も見たくなってきた。いつか機会があれば観てみたい。
そういえば冒頭とラストに出ていた怪物――あれってヒバゴンかもしれない。比婆山にいるという噂の獣人怪物で、まあイギリスのネッシーみたいなもんですw


夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)
この世界の片隅にがよかったので、こちらも購読。
当時、よくあっただろう話を短編漫画にした内容でした。ラストは「ああ、やっぱり……」と悲しい。
レビュー読んだら、衝撃的なラストに涙した、というのがたくさんあったけど、地元の人間としては複雑な気分。平和学習とかでうんざりするほど、こういう話を聞かされて育ったから、今更あまりこういうの読みたくないなーと思っていて、話題になっても読む気はしませんでした。
でも、地元以外ではは知らない人が多いのか、というのに少し驚いたというか。だから、この漫画は素晴らしいです。放射能の恐ろしさを、マイルドにしかし残酷に描いています。
ちなみに主人公兄弟姉妹の名前は、すべて町の名前です。今でも現存しています。


あとかたの街(1) (BE・LOVEコミックス)
↑全5巻。同じくイデオロギーが出ていない、戦争漫画です。こちらは少女一家の視点で、名古屋大空襲の惨劇が描かれています。読みやすくてほのぼのしていますが、戦争の影が一家をじょじょに苦しめていく描写に胸が痛みます。
posted by 夏 at 15:37 | TrackBack(0) | コミック(少女・女性) | 更新情報をチェックする

2016年10月28日

ダンス・マカブル 他

B00DSGG0I4ダンス・マカブル 1 ~西洋暗黒小史~<ダンス・マカブル> (コミックフラッパー)
大西巷一
KADOKAWA / メディアファクトリー 2012-06-16

by G-Tools

中世ヨーロッパで連綿と続き、とりわけ後期では異常なほど発達を遂げた拷問と残酷な処刑の数々。特権階級を持つ貴族たちの際限のない欲望から生み出されたものや、「魔女裁判」や「異端審問」など宗教家たちのエゴから生まれたものなど、多岐にわたるそれらの拷問具や処刑法が使用された様々なエピソードをオムニバスで綴る暗黒絵巻――。

↑1巻…ジャンヌ・ダルク、ローマ皇帝カリグラ、スペイン異端審問、エリザベド・バートリー、イエス・キリスト。2巻…フランス領主ジル・ドレ卿、処刑人シャルル・アンリ・サンソン。
美しい少女、少年たちが描かれてますが、内容はかなりショッキングです。ラストは救いようがないのが多いけど、読み進めてしまう不思議な魅力を持った漫画。残酷ななかにも、人の物悲しさを美しく描いているからかもしれません。
とくに2巻目から話に深みが出てきます。処刑人サンソンについては、死刑執行人サンソン ―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 を以前、読んでいたのもあり、彼の生きざまは、知れば知るほどだれもが惹かれるんだろうと思います。
西洋史、東洋史問わず、歴史は残酷な史実であふれています。史実をあまり知らないまま読むと、かなり衝撃的だと思います。だから、おすすめはしにくですが、西洋史が好きなら一読の価値はあります。
一番印象的だったのが、異端審問官の晴れ晴れとした顔で終わるラストの短編。神の代理人として裁く――拷問や処刑するのは正しいことなのだと信じる姿が空恐ろしいです。21世紀の現代でも、ISISが存在していますしね。人間の業は今も昔も変わらないのかもしれません。

B00XMKI2VY涙の乙女 大西巷一短編集 (アクションコミックス)
大西巷一
双葉社 2015-05-09

by G-Tools

↑こちらも残酷な歴史モノ。健気な少女や女性たちが、命をかけて戦う姿が美しい。ダンス・マカブルより若干、マイルドな表現。

B01LZBROBI逃げるは恥だが役に立つ(8) (Kissコミックス)
海野つなみ
講談社 2016-10-13

by G-Tools

↑百合さんと風見さん、これからどうなる? 親子ほど歳の離れている恋の行方が気になります。
奥さんが超年上のカップルは現実では滅多にありませんが、最近、20歳離れている姉さん女房夫婦が知り合いにいたことを知って、かなり衝撃でした。女性がだいぶ年上だとネットでは強烈に叩かれるから(高齢だと妊娠できないから価値がない等)、まさか身近にいたとは夢にも思っていなかったです。やはりネット世界で声の大きい輩は、一部の人間が騒ぐから多勢に見えるだけだったのか……(^_^;)
世間的にありそうななさそうな、現実的なカップルをテーマにしている作品らしい組み合わせ。

B01EV83LHUアンと教授の歴史時計 1 (プリンセス・コミックス)
もとなおこ
秋田書店 2016-01-15

by G-Tools

↑主人公のアンが18歳に見えない表紙だから児童書ファンタジーっぽいのかと思ったら、SFちっくな歴史モノでした。死にかけて天使になったアンが、過去のロンドンにタイムスリップして、さまざまな事件を解決するという連作です。あのチャーチル閣下が少年⇒老首相として登場するギャップが面白い。続きが楽しみ。
posted by 夏 at 19:07 | TrackBack(0) | コミック(少女・女性) | 更新情報をチェックする