2016年01月16日

Mystery Seller

4101366756Mystery Seller (新潮文庫)
新潮社ミステリーセラー編集部
新潮社 2012-01-28

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日本ミステリー界を牽引する8人の作家の豪華競演。御手洗潔、江神二郎など、おなじみの主人公から、気鋭の新たな代表作まで、謎も読後感も全く異なる八篇を収録。

うーん、期待はずれ……。
ほとんど読んだことがない作家さんだったのでお試し気分だったけど、ファンになるほど好きな作品はなかった。長編だったら面白い話があったのかもしれないけど、ミステリーというよりホラー寄りのが多かったのが残念。

以下、感想コメント。

・島田荘司「進々堂世界一周 戻り橋と悲願花」
↑ミステリーというより平和学習そのものでした。感想は書かないほうがよさげな内容(^_^;)

・有栖川有栖「四分間では短すぎる」
↑8作品の中でもっともミステリーらしかった作品。古典的な昭和の推理小説なんだけど、計算された謎が面白かったです。オチは賛否両論ありそう。

・我孫子武丸「夏に消えた少女」
↑ミステリー??? 叙述トリックというやつ? バカバカしいオチには笑えたw

・米澤穂信「柘榴」
↑文芸恋愛小説でよくある○○モノ。内容がドロドロ乙女系なのに好みが分かれそう。私は苦手。明らかにミステリーじゃない。

・竹本健治「恐い映像」
↑ホラーのようなミステリー。登場人物がすべてつながっていた意外な展開にわくわくするも、短編ゆえかオチが残念でした。

・長江俊和「杜の囚人」
↑明らかにホラーでした。昔流行ったサイコサスペンスっぽい内容。

・北川歩実「確かなつながり」
↑文章がまるで脚本のようで読みづらく、読了できませんでした。相性が悪かったのでしょう。

・麻耶雄嵩「失くした御守」
↑正統派青春ミステリー。高校生とは思えない古臭い雰囲気に好みが分かれそう。今時、政略結婚させられる女子高生お嬢様って存在するのか?
ラベル:_| ̄|○
posted by 夏 at 20:28 | TrackBack(0) | 小説-ミステリー | 更新情報をチェックする

2016年01月02日

古書の来歴 上下巻

4270104090古書の来歴 (上巻) (RHブックス・プラス)
ジェラルディン・ブルックス 森嶋 マリ
武田ランダムハウスジャパン 2012-04-10

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100年前から行方が知れなかったハガダーが発見された―連絡を受けた古書鑑定家のハンナは、すぐにサラエボに向かった。ハガダーはユダヤ教の祈りや詩篇が書かれた書で、今回発見されたのは実在する最古のものと言われ、ハガダーとしてはめずらしく、美しく彩色された細密画が多数描かれていた。鑑定を行なったハンナは、羊皮紙のあいだに蝶の羽の欠片が挟まっていることに気づく。それを皮切りに、ハガダーは封印してきた歴史をひも解きはじめる…。翻訳ミステリー大賞受賞作。

一冊の古書をめぐる人々の歴史物語。
前から読みたかったので期待大。

ユダヤ教の祈祷書でもあるハガター。ナチスと戦争に巻き込まれ名も無き人々の手に渡り、さらに過去を遡って生活のために売られ、ふたりの司祭のいざこざで他者に渡り、それを製本した家族の悲惨な運命、さらに遡ってもとは絵本だった……。
壮大な歴史の物語が心打たれます。歴史は残酷なときもあれば穏やかなときもあり、愛と別離に満ち溢れた旅物語のようでした。
一話ごとがまとまっているのもあって読みやすかったです。

ただ、読後感は悪くなかったけど少し物足りなかったなーというのが率直な感想。
高学歴でキャリアのある欧米女史が書いた歴史小説そのものだったのが、少し残念でした。
・とてもできる自立心あふれる独身女性。なぜかモテる。
・歴史がからむ設定はお決まりの悪ナチスと、虐げられるユ○ヤ人。黄金パターンなのか、同時代の欧米小説やドラマには必ずといっていいほど出てくるので、またかー、と思ってしまった(^_^;)。たしかに悲惨で許されない歴史だけど、あまりにもパターン化しているせいか、架空では以前ほどのめり込めなくなってしまった……。
・歴史パートは女性が活躍、男性はそのサポートか敵かダメ男な役。全体的にややフェミニスト。
・毒母との確執。欧米ものの小説って、過去か家族のトラウマに主人公が苦しめられるのがお決まり。いわゆるアダルトチルドレン。

これらのパターンが気にならないならおすすめです。
面白かったけど、私としては、歴史パートをさらに重厚にするか、もっと意外性が欲しかった。
posted by 夏 at 19:35 | TrackBack(0) | 小説-ミステリー | 更新情報をチェックする

2014年02月01日

毒入りチョコレート事件

4488123058毒入りチョコレート事件【新版】 (創元推理文庫)
アントニイ・バークリー 高橋 泰邦
東京創元社 2009-11-10

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ロジャー・シェリンガムが創設した「犯罪研究会」の面面は、迷宮入り寸前の難事件に挑むことになった。被害者は、毒がしこまれた、新製品という触れ込みのチョコレートを試食した夫妻。夫は一命を取り留めたが、夫人は死亡する。だが、チョコレートは夫妻ではなく他人へ送られたものだった。事件の真相や如何に?会員たちは独自に調査を重ね、各自の推理を披露していく―。

変わった趣向のミステリー。古典とは思えないほど、面白かったです。
で、結局真犯人はだれなんだ?
という野暮なツッコミをあえてさせる、ラストが心憎い。6人6様の推理がどれもきちんと筋が通っていて、なおかつ、ストーリーを作ってしまえばだれでも犯人になるうる、というその設定が新鮮でした。
証拠が少ない事件のため、各人の推理がてんでバラバラなんですよね。そしてメンバーをも犯人にしてしまうやりとりにハラハラします。

主人公らしき紳士ロジャーが真犯人を当てる、と思うじゃないですか、普通。
それがラストではなく、半ばで推理を披露し、そこで終わり、と思ったら、なんとその後のメンバーがさらにべつの推理を披露して、さらに混乱するのです。
主人公なのにまったくかっこよくないロジャー(笑)

あとがき読んで思ったんですが、どうやら作者のバークリーは、小説を書くことそのものが好きでなかったよう。推理小説を書いたのは、当時、一世を風靡しており、手っ取り早くお金を稼げたから(!)
現にブームが去ると、大金を手にしたバークリーは、小説家を引退してしまいます。なんと割り切った作家人生。
だからでしょう、主人公の探偵への思い入れが薄いというか、かっこよくさせようとする気がないのは。あくまでも小説の駒であり、スーパーヒーローが活躍する推理小説への、アンチテーゼなのです。

あと、1920年代ごろのイギリスの雰囲気もよく出ており、満足な読後感でした。
ラベル:★★★
posted by 夏 at 21:47 | TrackBack(0) | 小説-ミステリー | 更新情報をチェックする

2014年01月04日

二流小説家

4151795014二流小説家 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
デイヴィッド・ゴードン 青木 千鶴
早川書房 2013-01-25

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残忍な手口で四人の女性を殺害したとして死刑判決を受けたダリアン・クレイから、しがない小説家のハリーに手紙が届く。死刑執行を目前にしたダリアンが事件の全貌を語る本の執筆を依頼してきたのだ。世間を震撼させた殺人鬼の告白本! ベストセラー間違いなし! だが刑務所に面会に赴いたハリーは思いもかけぬ条件を突きつけられる……
『ミステリが読みたい!』をはじめ三大ベストテンの第一位を完全制覇した超話題作

話題になっていたので、読んでみました。久しぶり~な現代アメリカンサスペンス。
えっと、出落ちで申し訳ないんですが。
タイトルそのままの、二流ミステリー小説でした(^_^;)

犯人が特定されるまでの前半はわくわく。刑務所にいるはずの死刑囚と同じ手口の連続殺人があって、いったいだれが主人公たちを狙った?!
そしてついに謎が解けた……まではよかったんですけど、事件起こってから捕まるまでのページ数が少ない。そのぶん、いろんな大衆文学の薀蓄が語られるのが独創的でした。だからミステリーを期待したらちょっとがっかり。私は売れない作家の心理描写が楽しかったですけど、興味ない人からすると退屈かも。

あと、猟奇殺人がよくあるパターン。残酷な描写や、犯人のサイコパスも当時流行したプロファイリングものそのまま。どこかで読んだことあるような設定……いや、映画かな? そういうのを寄せ集めて書かれたような内容です。
真犯人の動機もあっさりしているし、あれだけ思わせぶりだったヒロインたちも、ラストにはあっけなくさよならするし……。オチも冴えない二流小説家状態でしたw

劇中劇ならぬ、主人公が出版したB級大衆小説の抜粋はどういう意味があったのか謎。オチを読んだら、本編もその大衆小説のひとつにすぎないのだ、と作者は言いたかったのでしょうか? 分厚くて読ませる内容のわりには、読後感はまずまずでした。
もうひとりの犯人が真犯人かも、と思っていたのが半分あたって嬉しかったですw
posted by 夏 at 21:14 | TrackBack(0) | 小説-ミステリー | 更新情報をチェックする

2013年08月10日

ミレニアム2 火と戯れる女 上下巻

4151792538ミレニアム2 火と戯れる女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
スティーグ・ラーソン ヘレンハルメ 美穂
早川書房 2011-11-10
【送料無料】楽天ブックス
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ミレニアム2 火と戯れる女(上・下合本版) (ハヤカワ・ミステリ文庫)(Kindle版)
女性調査員リスベットにたたきのめされた後見人のビュルマンは復讐を誓い、彼女を憎む人物に連絡を取る。そして彼女を拉致する計画が動き始めた。その頃ミカエルらはジャーナリストのダグと恋人ミアが進める人身売買と強制売春の調査をもとに、『ミレニアム』の特集号と書籍の刊行を決定する。ダグの調査では背後にザラという謎の人物がいるようだ。リスベットも独自にザラを追うが、彼女の拉致を図る者たちに襲撃された! 今世紀最大のミステリ三部作、激動の第二部に突入!

面白かった!続きが気になって、下巻は一気読み。

ただリスベットが襲撃されるまでが長いのが少し残念でした。上巻の半分がそんな感じ。とくに冒頭から100ページまでの世界旅行の描写、あれ、必要だったのかな……と思うほど。伏線になってなかったし、話がなかなかすすまなくて退屈でした。
それを除けば読み応えとスリルがあって、おすすめのサスペンスです。ミステリー度は1巻目より弱いぶん、バリバリのアクションシーンがたっぷり楽しめます。

悪の親玉であるザラの正体にびっくり。が、その設定になるほどな~とも。3でまた対決することになるらしいので、続きが気になります。ラストがあっけなく終わり、ぶつ切れだったから、「そこで終わり?」と思ったらやっぱり続編があったのか~。あとがきにありました。

面白いのは1で主役だったミカエルとリスベットがラストまで再会しないこと。ふたりとも同じぐらい登場するのに、接点はパソコンだけ。だけど、ミカエルが信頼しているから、だんだんとリスベットがふたたび心を許していくようになるやりとりに心温まります。
孤独な彼女がこれからどうなるのか、最終巻が楽しみです。

本書のテーマは「女を憎む男たち」とあとがきにもあったように、男性の暴力と支配(DV)に苦しめられる女性たちの物語です。
1でも書いたけど、社会福祉が充実して男女平等を歌う国だと思っていたのに、内実は、そうでもないみたい。あくまでもフィクションだから、実際はまたちがうのかもしれませんが、亡くなった作者が社会派のジャーナリストだったこともあり、あながち虚実でもなさそう。

女を憎む男って、だいたい自分の至らなさを異性のせいにする傾向があります。そんな描写がたくさんありましたし、実際、インターネットでも女性蔑視の発言をたくさん見かけます。
昔は女性が我慢していたんだけど、時代が変わって反抗するようになったものだから、さらに憎々しく感じてしまうのかもしれませんね。
男尊女卑思想の人が読んだら、どう感じるのかも気になります。

あまり書いたらネタバレしそうなんで、詳しく書けないのがもどかしい……(^_^;)
ラベル:★★★
posted by 夏 at 18:12 | TrackBack(0) | 小説-ミステリー | 更新情報をチェックする