2013年07月06日

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上下

4151792511ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
スティーグ・ラーソン ヘレンハルメ 美穂
早川書房 2011-09-08
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月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家の違法行為を暴く記事を発表した。だが名誉毀損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れた。そんな折り、大企業グループの前会長ヘンリックから依頼を受ける。およそ40年前、彼の一族が住む孤島で兄の孫娘ハリエットが失踪した事件を調査してほしいというのだ。解決すれば、大物実業家を破滅させる証拠を渡すという。ミカエルは受諾し、困難な調査を開始する。

世界中でベストセラーになっていたミステリーだったので、タイトルは知っていました。読んでみたら、すごく面白かったです。一番、驚いたのが作者のラーソン氏が本が売れる前に亡くなっていたこと!!!!
ということは、全3部が遺作になるということですね。デビュー作でこれだけ書けるんだから、存命だったらたくさん面白い作品を出版されていたでしょうに。うおー、悲しいけどドラマみたい。

面白かったんだけども、デビュー作だけあってとくに上巻の前半は小説としてこなれていません。話がなかなか進まず、肝心のミステリーが始まらない。ジャーナリストである主人公ミカエルの日常と暗転がひたすら書かれています。
下巻もあるし完読できるかな、と不安になるも、ようやくヒロイン、リズベットが登場。そしてヴァンゲル家の長、ヘンリックが事件を依頼するシーンからぐいぐい話に引きこまれました。1966年に失踪したヘンリエッタの行方を探すのですが、かなり昔のできごとだから当然、なかなか手がかりがなく。

上巻はあまり話が進まなかったけど、下巻でリズベットが助手になったとたん、素晴らしいスピード捜査でたちまち犯人が暴かれます。彼女は凄腕のハッカーだから。
それだけでなく、物語が面白いのは、リズベットの破天荒なキャラクターでしょう。ダークヒロインっぽいのに、中味は、可愛らしいところがあったり、いきなりゴルフクラブを振り回したり、行動が読めません(笑)
彼女が好きになるかどうかが、面白いと感じられる分かれ目かもしれません。それだけ個性的なヒロイン。

いっぽうのミカエルは、善人なんだけど、色男すぎw モテモテだもんだから、出会った女性たちとすぐに寝るのが、リベラルなお国柄のスウェーデンっぽいというか。結婚していても公認の愛人がいたり、恋人になっていないのに肉体関係があったりと、自由な恋愛観も読めます。
その凸凹なふたりがコンビになって、以降のお話も続きます。どんな展開になるのか、気になるのでいつか読む予定。

あと日常の描写が多くて、スウェーデンの暮らしだけでなく価値観も垣間見れます。
同性愛には寛容だけどロリコンにはかなり厳しいとか(昔は逆で、同性愛は監獄行きでした)、女性が社会で活躍しているわりには暴力や暴行の被害者がとても多いこと(これは意外)、福祉国家の暗部が描かれていたりと、日本とはちがう社会を知ることもできます。
アメリカやイギリスの翻訳ものはたくさんあるけど、スウェーデンは初めて読んだから余計、新鮮でした。


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2012年12月14日

GOSICKsIV‐ゴシックエス・冬のサクリファイス

404428119XGOSICKsIV‐ゴシックエス・冬のサクリファイス‐ (角川文庫)
桜庭 一樹
角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-05-25
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クリスマス前日、聖マルグリット学園は、最大のイベント“リビング・チェス大会”の準備で騒がしい。そんな中、いつものように独り読書にいそしむヴィクトリカ、彼女の退屈を追い払うため図書館塔を上る一弥―グレヴィールの初恋、アブリルの思い、ブライアンとブロワ侯爵の静かな戦い、そして―降りしきる雪の中解き明かされるのは、それぞれの“秘密”―名コンビ最後の平穏な日々を描く、大人気ミステリ外伝。

いつもよりちょっと文章が硬いというか、言い回しが文学っぽくなっていました。どうやら野性時代で連載されたものをまとめたみたいです。やや大人向けで内容も秋までより落ち着いた雰囲気でした。
そのためでしょうか、かわいらしさが半減していたのが残念。せっかくの持ち味が失われて、いつもほど楽しくなかったです。これから起こる嵐の前の静けさといった雰囲気。

本編で数行だけあった、リビング・チェス大会を背景に、物語が語られます。
そのなかで一番面白かったのが、ブロワ警部の髪型ネタ。どんどん複雑になっていく。悲惨な契約のせいで、だんだんかっこいい変な紳士にされていく過程が笑えます。
それにしてもジャクリーヌの鈍感さが笑えないほどひどい。ブロワ警部、よく愛想をつかさないなと。もっといい女性がいるよ、と突っ込みたくなる(苦笑
あと警部の部下のふたりは双子じゃなくて、友達だったのか。いつも手をつないでいるからてっきりゲイかと思い込んでいたら、それもヴィクトリカの暗示だったとは。意外。というか、初めはネタにしていたけど、あとから理由をつけたのかも。ふたりが気にしているような描写、ぜんぜんそれまでなかったし。

あと、ヴィクトリカの過去も話されるのですけども、ブロワ侯爵すごい強靭な肉体をお持ちなんですね。凶暴なママンにどうやって種を仕込んだのか、すごい気になってしまった(笑) 若い執事たち(ホントは従僕か下男なんだけど。執事は使用人頭なんで何人もいるのは変。細かい部分の間違いがいつももにょる)が腕や脚を噛み付かれながら数人で取り押さえるほどという。着替えもできないほどなのに…………謎すぎる。
そして不思議な果物という表現が、もう少しなんとかならなかったのかなあ、と毎度ながら思いました。色と形がないから、抽象的すぎて想像つかない。

春、夏、秋はもにょる部分があっても面白かったけど、冬編は中途半端にシリアスだったためか、いまひとつな読後感でした。同じ描写を何度もちがう文章で表現していたせいか、全体的にくどかったのも要因のひとつかも。
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2012年12月12日

GOSICKsIII―ゴシックエス・秋の花の思い出

4044281149GOSICKsIII―ゴシックエス・秋の花の思い出―
桜庭 一樹
角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-01-25
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秋、つかの間の平和なひととき、少年と少女は花を語り、謎をひもとく。自分たちのごとく歴史のうねりに翻弄されながら、懸命に生きた人々の思い出を。鮮やかな彩りに満ちた大人気ミステリ外伝。

いつもと趣向が異なって、昔の手記を一弥から読み聞かされたヴィクトリカが、真実を暴き出す内容となっていました。
「純血」「永遠」「幻惑」「思い出」のうち、一番面白かったのが永遠。その次が純血と思い出。これは推理?と思ったのが幻惑でした。
大昔の話なのに、中国と表記しているのが違和感ありすぎて。中国が中国と呼ばれるようになったのは、20世紀のなかばから。シナは無理としても、せめて唐ぐらいにしておけばよかったのに。それかソヴュールのような架空の王国にしておくとか。あとマンドラゴは本物か偽物かにはノータッチで、呪いの正体だけ明かされたのにもやっとしたのもあります。夏編の怪盗と同じで、中途半端すぎ(笑
純血はまた身代わりネタだったけど、フランス革命ネタだから面白かった。ドラマチックなのがいいですよね。貴族があっという間に凋落するとことか。
永遠は商人魂炸裂で、オチが意外だったので楽しめました。予想はついたけど、ヴィクトリカのツッコミがなかったら、そのまま話が終わっても不思議じゃない読後感。
思い出は母親が気がつかないの?と思ったけど、ロマンチック。あとエーデルワイスって新大陸(アメリカ?)の畑で栽培できるのかと疑問に。あれ高山植物だったはず。それだけすごい技術を持っていたから、花屋が繁盛したのかな???

突っ込みどころ満載でしたが、どのお話も読みやすくて楽しかったです。一弥の看病ぶりが甲斐甲斐しくておかしい。
posted by 夏 at 21:21 | TrackBack(0) | 小説-ミステリー | 更新情報をチェックする

2012年12月09日

GOSICKsII―ゴシックエス・夏から遠ざかる列車

4044281122GOSICKsII―ゴシックエス・夏から遠ざかる列車― (角川文庫)
桜庭 一樹
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-09-25
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まぶしい日射し、あふれる緑、静寂に満ちた、聖マルグリット学園―極東からの留学生・久城一弥と智恵の泉を持つ少女、ヴィクトリカは初めての夏休みを迎えた。大図書館で、庭園で、芝生で、謎を解き、世界を語る2人の距離は少しずつ近づいてゆく。やがて訪れる大きな嵐の予感すら、この輝きを曇らせはしないのだ―。人気ミステリシリーズの名探偵コンビ、つかの間の安らかな日日を描いた外伝短編集。

一弥の姉、瑠璃が登場する帝都(なぜか絶対に日本と表記しない。中国の隣とあるのに)を舞台にしたお話もありました。そこでも怪盗が登場するのですが、結局、怪盗はだれだったのか?普通に読めば吉良と思うんだけど、なぜかヴィクトリカはノータッチのままお話がおわります(笑
あとリボンの少女の肖像画を盗んだ犯人が、なぜわざわざもどって犯行時刻をずらそうとしたのかも謎。そのまま偽物を置いて逃亡するほうが良かった気が。
そんなこんなでツッコミどころはあるんだけども、お話としては面白かったです。

瑠璃姉さんが一弥をかわいがるのは、ほかの男家族が無骨すぎるからだったのか。結婚相手も勝手に決められるし、そりゃ逃げたくなるのもわかる。けど、本当の優しさというのをやがて知るのだろう、設定がよかったです。そこまで惚れられるほどの美女なのに、野性的(あまり女性に使わないほうがいい言葉だけど、作中にあるからあえて書きました。せめて地味とでもして欲しかった)と表現されるほど奔放なのがいいですね。

あとセシル先生が学生だった時の、盗難未満(?)事件がらしくておかしかったです。寮で犬とオウムを飼うほど裕福だったのに、戦争で財産を失うって、お父さまはよほどの貴族実業家だったのかな?

あと手をつなぐシーンが多かった。男女問わず。
爽やかな関係よりも、百合や薔薇っぽい友情ものがお好きなのかな、と思いました。
posted by 夏 at 20:08 | TrackBack(0) | 小説-ミステリー | 更新情報をチェックする

2012年12月08日

GOSICKs-ゴシックエス・春来たる死神

4044281092GOSICKs-ゴシックエス・春来たる死神ー (角川文庫)
桜庭 一樹
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-03-25
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1924年、春。ヨーロッパの小国ソヴュールに、極東から留学してきた久城一弥は孤独である。不慣れな環境、言葉の壁、クラスメイトの間で囁かれる不吉な言い伝え“春やってくる旅人が死をもたらす”…そして噂どおり起きてしまった殺人事件。容疑者として絶対絶命の危機に陥った一弥に気まぐれな救いの手をさしのべたのは、図書館塔に篭もる謎の少女だった―。世界を変える出会いの瞬間を描く、名作ミステリ外伝短編集。

一弥とヴィクトリカの出会い編。4巻のあとに書かれたそうでして、ファンなら知りたかっただろう序章もあります。そして一番よかったのが、アヴリルがたくさん登場したこと。冒険家だった彼女の亡くなった祖父と、怪盗との因縁が学園で繰り広げられます。

ミステリー度はかなり低いか、な……。謎解きが簡単すぎというか、ヴィクトリカの推理への導きがひらめきに近いというか。全体的に説得力が足りない。それでもキャラが楽しいから、それはそれで置いておいけば楽しめます。

あと毎度ながら、ある言葉――納骨堂の使い方が気になった。言葉の意味がちょっと違うような。骨になっていない遺体を安置するんだから、霊廟とかじゃないのかな? でも規模が小さいから、うーんと悩まれて納骨堂にしておいたのかも? 
しかしなんで墓地(近くの村にあったはず)に埋葬せずに、納骨堂にミイラになるまで棺に入れたままだったのかは不明。一生徒のためになんで? 故郷に骨だけでも帰さなかったの? そこが最大のミステリーだ、私には。

ファンのかたには申し訳ないですが、いつもどこかしらツッコミを入れずにいられないのも、本書の魅力です。あれこれ散見される、小さな矛盾を見つけながら読むのも慣れてくると面白い(笑

本書はたまたま富士見文庫版を入手したので、初めてイラストも堪能しました。ほぼイメージ通りだったけど、全体的に幼いかな。想像よりも。とくにセシル先生が生徒みたいで、イメージよりかな~り若かった。職業婦人とつけば、どうしても髪をアップにしたスーツ姿のレディを思い浮かべるから。
あと、桜庭さんのあとがきがすごくラノベらしいテンションで、おかしかったです。昔のコバルト文庫で、よくあったよねと、妙に懐かしかった。要ハイテンション法則でもあるのでしょうか(笑
posted by 夏 at 00:38 | TrackBack(0) | 小説-ミステリー | 更新情報をチェックする
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