2012年08月20日

GOSICKV-ゴシック・ベルゼブブの頭蓋-

4044281114GOSICKV-ゴシック・ベルゼブブの頭蓋- (角川文庫)
桜庭 一樹
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-07-24
楽天ブックス
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智恵の泉の少女・ヴィクトリカが父の思惑により突如連れ去られ、修道院“ベルゼブブの頭蓋”に幽閉された。無言でゆっくりと衰弱してゆくヴィクトリカと、彼女を助けようと向かう一弥。呼び合うふたりの運命は…!?

忽然といなくなったヴィクトリカを連れ戻しにリトアニアにある修道院へ単身でかけた一弥。世界大戦当時のできごともからんできて、話が複雑になってきました。本編の収集が始まったよう。
いつもよりシリアスでヴィクトリカも助けられてばかりだったけども、あいかわらずふたりのやりとりが面白い。ボケとツッコミそのまんまw そのままラストへ向かう――のかと思ったら、なんと帰りの列車に事件に巻きこまれたよう。そこで続く。
独立した話じゃなかったんだ。というわけですぐにⅥを読み始めました。まとめ買いしていてよかった!

史実をもとにした物語ですが、かなり自由度が高いのでファンタジーに近いかな。リトアニアを舞台にしているのなら、少しでもいいからその国らしさがあればもっとよかったのにな。ほかにもあれこれ気になった。
どの話も面白いんだけど、細々した点で詰めが甘いのが残念だな、と毎回、思います……。


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2012年08月11日

GOSICK IV-ゴシック・愚者を代弁せよ-

4044281106GOSICK IV-ゴシック・愚者を代弁せよ- (角川文庫)
桜庭 一樹
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-05-25
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季節は初夏。今日も図書館塔最上階、秘密の小部屋で読書にふけるヴィクトリカの頭上に、金色の書物が落ちてきた。そこには“未来の汝よ。我は愚者なり。そして汝、愚者の代弁者となりて、我が愚かなりし秘密を暴け!”とメッセージが。時を同じくして学園にやってきた謎の人物。そして、時計塔で起きた密室殺人…知恵の泉のもと、すべての謎がひとつになるとき、王国の禁忌が白日のもとに!?人気ミステリ、急展開の第4巻。

トリックが複雑になってる。ミステリー度がアップしていて、前巻までより面白かったです。
冒頭とラストしか登場しないアブリルがついに、ヴィクトリカと対面……するんだけども、対照的なヒロインがうまくいくはずもなく、揶揄するやりとりに笑えました。あいだに入った一弥がおろおろw

さらっと書かれているんだけども、ヨーロッパ史がお好きなのだな、と読んでいて思いました。元ネタであろう史実がいろいろ複雑にからみあって、ミステリーに仕立て上げているから。ただ本格的ではないので、犯人はあの人かな、と予想したらやっぱりな展開だったという。なかなか教養がある人だったんですね。印象との差が隠れ蓑になったのかもしれない、当時は。

時計塔のトリックになるほど~と。ただ気になるのは、16世紀に建てられたのにぜんまい???当時あったのかというより、表現としては歯車のほうが雰囲気にあっているようなないような。それとも後年、ぜんまい仕掛けにされたのかな? 
あと白バラを青バラに変えるトリック……そんな一瞬でできるのか?と激しく疑問に。私が子どものとき、白菊で同じことしたけど、時間かかったような記憶が。数日単位。
そこんところの解釈や説明がなかったのが残念でした。ライトだからミステリーよりもキャラを楽しむと思えばあまり気にならないけども。

素直になれないヴィクトリカがかわいすぎw あと本編全体を通したストーリーが動きだしたことで、次巻が楽しみです。8巻目となるラストはどーなるのか?
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2012年07月14日

カルチェ・ラタン

4087476030カルチェ・ラタン (集英社文庫)
佐藤 賢一
集英社 2003-08-20

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一五三六年、パリ。ある靴職人が行方不明になった。その事件に着手した新米夜警隊長ドニ・クルパンは、元家庭教師で天才的推理力を持つ神学僧ミシェルに協力を求める。二人が捜査を進めるうちに、やがてパリの闇夜にうごめく巨大な陰謀が明らかに…。宗教改革という時代のうねりの中、セーヌ左岸の学生街「カルチェ・ラタン」を舞台に繰り広げられる冒険と青春群像。西洋歴史小説の傑作。

もっと堅い話かと思ったら、軽快なミステリー青春小説でした。
神学校の学生たち(つまり僧侶)たちがたくさん登場するなかに、あのザビエルやカルヴァンがいるのが笑えます。教科書のイメージとまるっきり異なる人間臭い彼等。そしてなかでもずば抜けて魅力あるのが、主人公の元家庭教師、ミシェル。
男の中の男というか、まさしくマッチョ的なカッコよさ。頭も切れるのはもちろん、武術にもすぐれて容姿も男前。もちろん、女性からもてまくり。そんな彼にあこがれるのが、主人公ドニ・クルパン。まるでかっこいいジャイアンとのび太くんの組み合わせで、話がどんどん進んでいきます。

時は16世紀。ルターやカルヴァンがプロテスタントを唱え始めたころで、カトリックに疑問を持つ僧侶が出てくるあたり、歴史を感じます。僧侶たちが侃々諤々と宗教談義に花を咲かせるシーンが興味深い。ときにはミシェルとザビエルたちが対立する姿も。
そもそもカトリックは時代にあっていないというか、女性を抑圧する教えそのもの。避妊が禁止されているのもそのひとつ。それが契機となって、ミシェルと恋人のマルトは別れてしまったけども、伏線となっているのが面白い。結局、ドニもミシェルも古い慣習を乗り越え、時代を生きていくというオチが爽快でした。
似非歴史ものとなっている、作者の解説が笑える。ということは、ミシェルはあの女性と…………!
壮大な伏線ににやり、とできました。

全体的にライトなので、歴史ものをふだん読まなくても楽しめるかも。もちろん読みなれない言葉も多いですが、キャラクターがどれもわかりやすいので、とくに萌え系ラノベ好きにもおすすめできます。
なぜ萌え系かというと、主人公のドニがまさしく童貞ネタを具現しているキャラクター。事件のネタも性的なことだったし、ラストもそんな感じ。モテモテなミシェルの恋人の胸ばかり見ているけど、はっきり言えないというまさしく純朴系な青年(笑)

ただ、個人的に童貞ネタが苦手な私は、どうにも主人公に共感できず(だって頭の中身がそればかりなせいか、心理描写の半分は下ネタ・汗)主人公がもう少し大人だったら、もっと好みだったはずな読後感でした。
これ読んでわかったことは、私、童貞ネタが地雷だったんだ……ということ。レビューで絶賛されていても、主人公がそれ系だったら、うんざりしてしまう。以前、読んだ「卵をめぐる祖父の冒険」も同様でしたが、こちらのほうが文章にずっと気品あるので、不快感もあまりなく読みやすかったです。
posted by 夏 at 10:55 | TrackBack(0) | 小説-ミステリー | 更新情報をチェックする

2012年06月25日

GOSICKIII ―ゴシック・青い薔薇の下で―

4044281084GOSICKIII ―ゴシック・青い薔薇の下で― (角川文庫)
桜庭 一樹
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-01-23
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“青い薔薇”を買ってきてちょうだい―故郷にいる姉の頼みで、首都ソヴレムに出かけてきた一弥は、巨大高級デパート“ジャンタン”で、不気味な体験をした。街に流れる“人間消失”の噂、異様な計算能力を持つストリートチルドレン―深まる一方の謎を抱え、一弥は風邪で寝込んでいるヴィクトリカに電話をする。“知恵の泉”は距離の壁を超え、難事件を解決できるのか…!?

デパートが舞台のトリック。あっという間に読了。
ミステリーがシンプルなぶん、一弥とヴィクトリカの電話のやりとりがかわいらしくて面白かったです。

あと腹ちがいの兄であるブロア警部の髪型の秘密に爆笑。というか、本気にしている警部のほうが子どもっぽすぎる。舞台は20世紀なのに、登場する人物は信心深いのかも。だから迷信とか怖がったりするのかな、とも。

一点、気になったのが、どうして一弥が一度目の買い物へ行ったとき、隠し部屋へすんなり案内されたのだろうかっていうこと。「青い薔薇」が合言葉? かと思ったけども、のちの展開を知っても身分証とか会員証ぐらい用意しないのかな、VIP待遇だろうに。
まさしく事件はそこから起こるのだけども、あまりにも簡単に巻きこまれてしまう設定がラノベらしかったです。本格的にしたら読み手が混乱するから、と考えての配慮でしょうか?
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2012年06月19日

学寮祭の夜

4488183115学寮祭の夜 (創元推理文庫)
ドロシー・L. セイヤーズ Dorothy L. Sayers
東京創元社 2001-08
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母校オクスフォードの学寮祭に出席した探偵作家ハリエットは、神聖たるべき学舍で卑劣な中傷の手紙に遭遇する。思い出は傷ついたが、後日、匿名の手紙が学内を騒がせているとの便りが舞いこむ。ピーター卿は遠隔の地にあり、彼女は単独調査へ駆り出される羽目に。純然たる犯人捜しと人生への洞察が奏でる清新な響き。著者畢生の大長編!

後半、ピーター卿の甥である、セント・ジョージ卿が登場するまでが長かった! 700頁もあるのに、事件そのものはいつもより穏やかです。まず死体が出てこないことと、学園内での行動と人間関係のみで展開されるから。

そして犯人が意外――でもなかったかな。もしかしたら……でも、○○だったら単純だし、大ドンデン返しが?と期待したら、そこで終わったという。
ただ、動機がとても時代の境目を感じるもので、女性の生き方を手探りで模索する姿が印象的。ようやく大学にも女性が入学できて、社会にどんどん進出していき始めた時代の息吹が伝わってきます。20世紀初頭を舞台にした小説とは比べ物ににならないほどに。

あとついにというか、ようやくというか、ピーター卿とハリエットのロマンスも同時展開。短篇集を先に読んでいたので、二人が夫婦になって子どももいるのは知ってましたが、それでもあのクールなピーター卿が求婚するシーンがドキドキでした。言葉も貴族らしく、ストレートじゃないのがよいです。
もうハリエットにべた惚れ。5年も待ち続けた甲斐があったという。それだけハリエットは魅力ある女性なんでしょうね。出会ったとき、卿が一目惚れするぐらいだったから。

おもしろかったのは甥のセント・ジョージ卿(子爵)。軽薄なところはべつとして(笑)、言葉遣いや性格が叔父さんにそっくり。とにかく口達者な洒脱で、ハリエットが呆れるほどという。父ではなく、叔父に似ている青年が、強烈でした。

前半は事件かただのイタズラか判然としなくてもどかしく、人間関係のやりとりに焦点があてられているためか、読んでいて退屈でした。だいじょうぶかな、と、不安になるも、ピーター卿がようやくさっそうと登場したら、やっぱり面白い! 例の首輪は洒落じゃなかったのも、卿らしくて素敵。
やはり彼が主役でないと、物語がスムーズに進行しないというのが、しっかり伝わったお話でもありました。そのぶん、ハリエットの活躍が抑えられているも、それがかえって作品のリアルさを増しているのがよかった。昨今のハリウッド的、無敵ヒロインだったら不自然すぎて興ざめしたはず(笑)
posted by 夏 at 21:28 | TrackBack(0) | 小説-ミステリー | 更新情報をチェックする
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