2017年07月17日

モンテ・クリスト伯~あの大長編古典をなんと単行本1冊にまとめた神業漫画 他


モンテ・クリスト伯爵 (ジェッツコミックス)
↑アレクサンドル・デュマの大長編を驚いたことに一冊の漫画本にまとめた作品。デビュー作のため、編集サイドが「どうしても1冊で描いて欲しい」と条件があったとか……。
そうなるとありがちなダイジェスト版を想像したんですが、レビューの評価が高かったので購読してみました。ほとんど違和感無し。後半は駆け足だったものの、離れ島の監獄に入れられるシーンとか、復讐を誓うまでの前半はドラマチックな仕上がりです。
そしてイラストが美しいので、19世紀の社交界もたのしめてお得な内容でした。長すぎて巌窟王しか読んだことないけど(ほとんど内容忘れていましたが)大満足な一冊でした。せめて3巻ぐらいまでの長さだったら、よかったのになーというのが、唯一の残念ポイントです。それだけ面白かった。原作を読みたくなります。

↓その他読了マンガ

ダンジョン飯 4巻 (HARTA COMIX)
↑ついにファリンが生き返る――も、嫌な予感の伏線がちらほら……。次巻がどうなるのか楽しみ。ありがちなゲームファンタジーを題材にしながらも、ご都合主義に走らず、シビアな世界観と細かい設定が素晴らしい作品。


逃げるは恥だが役に立つ(9) (Kissコミックス)
↑完結巻。みくりたちは予想通りのハッピー・エンド。そしてずっと気になっていた百合さんの恋愛の行方が描かれています。超年の差カップルだけあって、将来のこととかいろいろ悩んではいるのですが、「今」を精一杯生きて楽しむその姿がよかったです。この作品はライトな切り口にも関わらず、いろいろ考えさせられました。ドラマ大ヒットおめでとうございます。


ゴールデンカムイ 10 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
↑いつもより変態度が低い(?)代わりに、オモシロ脱獄王白石が快進撃。どっちつかずのコウモリだと思っていたのに、その心は――が爽快。しかし、主人公が負傷してしまい、これからどうなるのか、続きが気になるラストでした。


アンゴルモア 元寇合戦記(7) (角川コミックス・エース)
↑裏切りと駆け引きの展開。オチ(元寇)は知っているものの、そこへどう話を運ぶのかを予想できない。強敵にどう立ち向かうのか。数日単位で話がすすんでいるにもかかわらず、あいかわらず濃い内容です。


王妃マルゴ 5 (愛蔵版コミックス)
↑ついに結婚したマルゴだが、宗派戦争に巻きこまれてしまい、新婚らしい生活はほぼなし。おまけに兄王が崩御して、一家と親族の血なまぐさい争いが、という展開。残酷なフランス歴史ものだけど、登場人物がみな生き生きしているから、楽しんで読めます。
あと、ポーの一族 ~春の夢~ (フラワーコミックススペシャル)が発売されているのが一番の驚き。40年近く経って、まさかの続きがあるとは……。リアルタイム読者だった方々の感動しているレビューが濃い。


海街diary 8 恋と巡礼 (flowers コミックス)
↑すずちゃんが大きく成長した8巻。……ということは、あと1巻が2巻ぐらいでラストなのかな? 一昔前の人情ものが心地よい作品です。
posted by 夏 at 21:01 | TrackBack(0) | コミック(少年・青年) | 更新情報をチェックする

2017年04月02日

パブリック・スクール――イギリス的紳士・淑女のつくられかた


パブリック・スクール――イギリス的紳士・淑女のつくられかた (岩波新書)
歴代首相をはじめ著名人を輩出した、イートン、ハロウなどの寄宿制私立名門校パブリック・スクール。階級が根強く残るイギリス社会において、上流階級の子弟の教育機関でありながら、文化の一部として広く国民に共有されてきた。独自の慣習からスポーツ、同性愛まで、小説や映画などからそのイメージの成立と変遷をたどる。

英国における学校の文化をコンパクトにまとめています。過去から現代まで時代も幅広いです。

初めは貧しくて学校に行けない少年たちのための慈善学校(グラマー・スクール)だったのが、運営するにはお金が必要になって、上流階級の子弟が通うになるのがパブリック・スクールです。
しかし19世紀始めまでは、パブリック・スクールは血気盛んな少年をしつけるための学校でした。やんちゃな貴族を一人前の紳士に育てるためです。飲酒や暴力は日常茶飯事でした。

秩序ある学校にしようと改革したのが、アーノルド・トーマス。監督生やファギング(上級生を下級生が召使のようにお世話する制度)が始まったのも、氏が提案したものです。
そして良いイメージを確立させるため、少年向けの読み物雑誌に清く正しい主人公が活躍する、パブリック・スクール物語を掲載します。それを読んで憧れたのが、中流階級や労働者階級の少年たちでした。

しかし男子校なので、実際はあい変わらず暴力やイジメ、答案を丸写ししたり、授業をサボったりしていたそうです。その内実を書いた自伝小説が20世紀始めごろから出版され、問題作になりました。

女子向けのパブリック・スクールが登場したのは、19世紀半ば。初めは家庭の事情で自活せざるを得ない少女のために、家庭教師になるための学校でした。
それが20世紀に入ると、女性が就職して自立するための学校に変わります。男子のように集団生活をし、勉強とスポーツをすることで、男らしい女性になる、と批判されることもありました。もちろん、裁縫や料理といった主婦になるための授業もあったそうですが、卒業生は紳士のように態度が堂々としていたそうです。

昔から存在していたグラマー・スクールですが、ほとんどはパブリック・スクールにならず、1976年に労働党が廃止するまで存続しました。現在は公立の中学校コンプリヘンシヴ・スクールに変わったのです。
日本でいう高校も兼ねているスクールは、そのまま卒業するグループと、進学するため2年残るグループに別れます。しかし進学できないグループが足を引っ張ってしまい、現在は不良だらけの荒れた学校だとか……。勉強どころではないそうです。

こういうのを読むと、伝統の大切さがわかります。
パブリック・スクールのようにお金持ちしか入学できなかったり、グラマー・スクールのように勉強ができないと奨学金が出なかったりするのは一見、不公平なようで、そのじつ理にかなっているのかもしれません。
posted by 夏 at 15:04 | TrackBack(0) | 西洋史(雑学・専門) | 更新情報をチェックする

デザイン変更しました

記事を投稿しようとログインしたら、デザインシステムが変更するから、移行してください、というお知らせが。さっそくボタンを押そうとするけど、エラー出まくり。いろいろカスタマイズしていたから、移行はできないらしい。
なので面倒だなと思いつつ、古いデザインをすっぱり削除して、数年ぶり(薔薇画像以外は10年以上つかってたかも)にリニューアルしました。
アンティークなローズと赤をモチーフにしています。
PCサイト用の背景とタイトル画像を変えただけで、あとはテンプレそのままです。スマホ用は種類が増えて無くて、前と同じ。

ブログ始めたのが2005年なので、もう12年近く投稿していることになります。記事たくさんあるわりには、アクセスないのは、マイナーネタだからでしょう。
だから最近は「おお、これは!」という書籍以外、テキスト短めで投稿しています。あくまでも個人的メモという形です。
紙の書籍しか買ってなかったころは、何を買ったのか忘れるのもあってメモしてましたが、電書はログがずっと残るのもあって、漫画はまとめて投稿しています。(紙の時代、漫画を何度かダブリ買いをしたことがあります。巻数長くて似たような表紙だと忘れてしまうんですよね。特にベル●ルクとかw)
posted by 夏 at 14:30 | TrackBack(0) | おしらせ | 更新情報をチェックする

2017年02月26日

クリスティ・ハイテンション 全7巻


クリスティ・ハイテンション 1<クリスティ・ハイテンション> (コミックフラッパー)
霧深き19世紀ロンドン。わずか数平方マイルに数百万もの人々がひしめき、彼らが望み、企み、絶望するがゆえ起こる幾つもの難事件。名探偵と名高きシャーロック・ホームズの姪クリスティがつまびらかにする真実が人々を救い導いていく。今日も彼女は事件と出会う…。伯父に劣らぬ明晰な頭脳で真実を射抜く可憐な美少女クリスティ。そして彼女を支えるひと癖もふた癖もあるメイドたち―ノーラとアンヌマリー。彼女達の前に、悪しき策謀は瞬かない!

いわゆるホームズもののパスティーシュ。原作の事件が表とすると、クリスティ嬢はその裏で密かに活躍する内容です。叔父であるホームズに似て頭脳明晰で行動的な令嬢が、拳銃と鞭使いのメイドを従えて冒険するさまがかっこよくて楽しい。
大ベテランの大御所が描くだけあって、どのお話も安定して面白いです。無駄がまったくなく、クリスティの愛らしさが存分に描かれているのが見どころ。そしてヴィクトリア朝の背景や小物が美しく描かれているのもよかったです。
そのなかで起きる血なまぐさい事件。華麗さと残酷さがうまく混じり合い、19世紀らしい雰囲気がたっぷりでした。とくに女性陣が生き生きしていて、ホームズとワトスンは脇役ですw

だからこそ、残念だったのがラストの7巻。謎解きはほとんどなく、アクションだけで解決したのが物足りなかったというか……。パスティーシュ編よりもミステリーらしさがなかった。いかにも新谷ワールドって感じ(^_^;)

ヴィクトリア朝を舞台にした完成度の高い漫画でした。ホームズ好きはもちろん、メイド好きにも楽しめる内容になっています。


クリスティ・ロンドンマッシブ 1 (コミックフラッパー)
↑続編。全5巻。

17歳になったクリスティはあい変わらず事件大好きなお転婆令嬢。年頃になったので、社交界にも出てみるも、結婚相手探しに興味がない姿は予想通りでした。
かわいいにきれいが加わったクリスティのイラストがとっても美しい。事件もテンポよく進み、あの宿敵モリアーティ教授がホームズ以上に登場。悪漢なりの美学に惹かれます。

が、気になったのが、新登場したメイドたちの能力。怪力、邪眼まではまだ許容範囲としても、悪魔召還はどうよ?と思った。そこだけファンタジックになってしまい、ストーリーと世界観のバランスが悪い。悪魔召喚で解決するのはルール違反のような……。
レビューでも同意見がたくさんあったので、やっぱりおかしいよなーと。
さすがに3巻目からは、超能力は控えめに描かれ、完結巻ではまったくありません。苦情いっぱいあったのだろうなーと。

その点をのぞけば、ミステリーとアクションに、生き生きしたキャラクターが楽しめるヴィクトリアンマンガです。ラストは駆け足でしたが、令嬢ロマンスらしい終わり方でした。
posted by 夏 at 19:43 | TrackBack(0) | コミック(少女・女性) | 更新情報をチェックする

坊っちゃんの時代 全5巻


坊っちゃんの時代 : 1 (アクションコミックス)
<明治>という時間軸に交錯する群像を、関川夏央の気鋭の原作を得て、名手・谷口ジローが渾身の力で描いた話題作。歴史上の人物たちの同時代的邂逅が意表を突く!!

夏目漱石が主人公で、小説坊っちゃんができるまでの日々。
あらすじと表示でお堅いイメージしがちですが、内容はおちゃめな漱石さんがたっぷり出てきますw そして当時の明治の文豪や歴史的人物がたくさん登場し、ときにすれ違うというノン・フィクションっぽい雰囲気が面白い。教科書で知ったあの人はこんな生き方をしていたのか、とユーモアとシリアスを交えて描かれてます。

全5巻のうち、かなり意外だったのが石川啄木。働けど働けどわが暮らし楽にならず、という印象が強いのですが、じつはとても浪費家で女好き。しかも愛想がとっても良くて忘れっぽいものだから、借金がどんどん膨らんでしまいます。だから毎日、どう金策するのかばかり。
生前は文学者として無名だったのもあって、漱石や白秋らを羨む描写が人間らしいです。若くして亡くなりますが(それは作中には描かれず)、奥さんと娘さん、啄木の詩集が売れてよかったですね、としか言いようがないぐらいのクズっぷりでした。

ほかに森鴎外と舞姫エリスとの苦い恋や、飼い猫を失った漱石が臨死する話、大逆事件にまつわる明治の人々と不安、が芸術的に描かれています。やや難解で読み手を選ぶ作風ですが、明治や文学者に興味があればおすすめです。
ただし、ストーリー的に弱い部分があって、オチがない話が多いんだけど、これは明治という時代を読む作品なのでしょう。一コマ一コマからあふれる明治の人々の生き方をじっくりと楽しめます。

その他読んだ漫画


↑初々しいとしか表現しようがないほど、かわいいパリヤとウマルの恋! こんな幸せそうなカップルいるのか、思うほどラブ全開でした。今で言うコミュ障のパリヤちゃんが幸せになるのが本当にうれしくて……。同じ思いをしているのは私だけでないはずw
当時のムスリムの価値観がところどころにあって、未婚の男女が一緒に出かけることすらタブーなのが歴史を感じました。乙嫁の世界ではそれも緩く描かれているから安心できるけど、現在も変わっていないのを思うと複雑です。


↑伊藤の元雇い主であるマリーズ氏が気になる終わり方でした。ひとくせありそうな氏と伊藤には何が合ったのだろうか。原作を読みたくなるも、バード女史視点だからそれは書かれてないのかな? どの資料をあたっているのか気になります。
バード女史がかわいい。写真のイメージ(中年だし)とぜんぜんちがうけどw


↑本編はあまり進まず、番外編が多かった。どのお話も飛行機マニアっぷりが伺えて楽しいです。あい変わらずのマリア嬢の豪快ぶりにすっきりします。次出るの一年後でしょうか……長いな(^_^;)
posted by 夏 at 19:30 | TrackBack(0) | コミック(少年・青年) | 更新情報をチェックする